汚名返上の1発で、わずか一夜で首位を奪い返した。ソフトバンク柳田悠岐外野手(27)が、ロッテ戦(ヤフオクドーム)の初回に2戦連発となる先制15号ソロを放った。前日25日の楽天戦でセンター前方への打球を後逸し、チームは首位から陥落していた。この1発で火がついた打線は、6月16日以来となる2桁得点の猛攻と勢いを取り戻した。マイナス0・5差という珍現象は続くが、最短なら明日28日にも優勝マジックが点灯する。

 汚名返上に燃える柳田が打線に火をつけた。初回2死からバックスクリーン左に飛び込む2試合連続の15号ソロ。12日の対戦で2安打完封負けを喫していたロッテ石川から、貴重な先制点を奪った。これが打線爆発の号令となった。

 「昨日はやらかしたので、今日は頑張ると決めていた。すごいいいスイングができたので入ると思った。気持ちが入っていた。その後も皆が打ってくれたのが大きかった」

 みそぎの1発だった。25日楽天戦では1点リードの9回1死一、二塁で、茂木の前方への低いライナー性の打球をスライディングで捕りにいった。だが、捕球できずに後逸。ランニング本塁打を許し、逆転負けを喫した。チームは4月19日から守り続けた首位の座を日本ハムに明け渡した。

 試合後、工藤監督やナインから「切り替えろ」と気遣われたが、心中は「なかなか難しいかなと思っていた」。この日も普段通りアーリーワークからグラウンドに立ったが「野球がしたくないと思っていた」。それでも第1打席で最高の結果を出した。

 この1発で打線も奮起し、石川を早々とKOした。柳田は2回にも一ゴロで5点目を奪い、7回には右中間への2点適時二塁打を放って4打点の活躍。「(2回は)打撃の内容はゴミでしたけど、そんなん言っとる時期じゃない」。守っても4回に、前夜の決勝打と同じような清田の打球に突っ込み、難なく捕球し「皆にいじられました。うるせえよって(言い返した)」と、笑顔を取り戻した。

 工藤監督も「あの1発が皆に火をつけてくれたんじゃないかな。何点とっても、もう1点という雰囲気がベンチに出ていた」と喜んだ。わずか1試合で首位に返り咲き、打率も3割を守った柳田は言った。「3割はもうどうでもいい。足を引っ張らないようにやりたい」。見つめるのは優勝だけだ。【福岡吉央】

 ▼首位に返り咲いたソフトバンクは早ければ明日28日にも優勝へのマジックナンバーが点灯する。条件はソフトバンクがロッテに○○、日本ハムが西武に△●か●●(●●の場合はソフトバンクが○△、△△でも点灯)でM24が出る。なお、日本ハムにマジックが出る場合は最短30日になる。