首位奪還ならず。体調不良だった日本ハム大谷翔平投手(22)が3試合ぶりの先発復帰も、勝利につながらなかった。勝てば3日ぶりの首位だったが、お付き合いの逆転黒星だった。

 好転した流れが一瞬で、止まった。大谷の憤死が、分岐点になった。2点リードした直後の6回2死一、三塁だ。一塁走者の田中賢が二盗を試みる。西武の捕手・炭谷が二塁へ送球するしぐさをすると、三塁走者の大谷が本塁へスタートを切りかけた。その動きを察知され、炭谷は三塁へ送球。おびき出され、ホームへと駆けだすしかなかった。痛恨の重盗失敗。栗山監督は「アウトになってしまったら、監督がヘボいということ」。捕手が二塁へ送球した場合に、本塁を狙うというサインプレー。炭谷の「偽投」で誘い出されてしまった。

 1点を追う8回2死一塁でも、精彩を欠いた。カウント2-2からサブマリン牧田が長く取った間合いにじれて、タイムを要求。球審は認めていなかったが、自ら打席を外してしまい、そのまま投球。バットを振るチャンスすらなく、見逃し三振を喫した。「僕のタイミングで(タイムを)取った」が、後ろ髪ひかれる1打席。プロ4年目で初体験の優勝争いには、まだ先がある。大谷がほろ苦い1敗を経験値にして、有終のゴールへラストスパートする。【高山通史】