DeNA石田健大投手(23)が甲子園で躍動した。7回を投げ、被安打6、2失点でチームトップタイの今季9勝目を挙げた。初登板となった聖地で阪神戦はプロ初勝利。プロ2年目にしてセ・リーグ5球団から勝利をもぎとった。同期入団の山崎康も8回に登板し、直球主体の気迫十分の投球で3者凡退で臨時クローザーの三上につないだ。ラミチャンス打線ともかみ合い、連敗は3でストップ。4位ヤクルトとのゲーム差を2に広げた。

 勝負の妙を知り尽くしたかのような振る舞いだった。石田が追撃態勢に入ろうとする阪神打線を涼しい顔のまま沈めた。登板最終イニングの7回無死一塁。大和の投前へのバントを捕球すると華麗な身のこなしで迷わず二塁へ送球した。「いつも通りのチャージで捕手の指示に従っただけ」。無表情のまま次打者に視線を移した。後続も難なく打ち取り、7回を97球でまとめチームに4戦ぶりの勝利をもたらした。

 勝つための習慣が体にしみついている。打席では常にベースよりに立って構える。「ただ打ちたいからですよ。それ以外の理由はない」とサラリと話すが、投手ながら死球を顧みない覚悟で相手バッテリーに重圧をかける。試合序盤の攻防が勝敗を左右することは重々承知。「守備の時間を少なくすれば打線が点を取ってくれる可能性が高くなる」と1回を9球、序盤の3回までのわずか29球でイニングをテンポよく進めた。

 球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出は仲間とともにつかみ取る姿勢を強調した。8回を託した山崎康には「本当に去年から助けてもらっている。僕の勝利数はヤスと三上さんがいるから。自分にはまだ1人で投げきる力がない」。不振にあえぐ山崎康はツーシームだけに頼らず全10球中9球の直球勝負で3者凡退に打ち取り、復調の兆しを見せた。

 4位ヤクルトに追撃される中でチームの連敗を3で止めた。さらに今季5勝13敗と苦手としていた阪神を撃破し、ラミレス監督は「大きな意味がある1勝」と言った。投打の融合、若手の成長。着実に力をつけながら、CS進出にまい進する。【為田聡史】