DeNA井納が「家族」に力をもらった。

 登板数時間前、電話が鳴った。「自然とスイッチが入った。いつもとは違う登板だった」。6日の午後、夫人が都内の病院で第1子の長男を出産した。前日5日に分娩(ぶんべん)に備え入院。病院に寄ってから球場入りした。マウンドでは終始、平然を装ったが、勝利が決まったハイタッチでは思わず涙ぐんだ。「恥ずかしながらうれし泣きです」。父親の初仕事を全うした。

 7月30日以来、5試合ぶりの白星だった。4位ヤクルトとの3連戦初戦。ゲーム差を3に広げる今季2度目の完投で7勝目。14年8月から7連敗中だった天敵を“家族3人”で克服した。完封目前の9回、先頭山田にフォークを左翼席へ運ばれ「さすがトリプルスリーを達成する打者。正直、完封したかった」。もっと格好いいパパの姿は次回登板で見せる。大きな1勝を手土産に息子との初対面に向かった。