プレーバック日刊スポーツ! 過去の10月13日付紙面を振り返ります。2004年の1面(東京版)は、新規参入を目指すIT関連企業「楽天」の監督に、中日などで活躍した田尾安志氏に決定でした。

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 プロ野球へ新規参入を目指すIT関連企業「楽天」(三木谷浩史社長)の監督に、中日などで活躍した田尾安志氏(50=野球評論家)が決定したことが12日、明らかになった。13日、発表される。楽天は元阪神の掛布雅之氏(49=野球評論家)へ要請していたが、球団方針や条件面で折り合わず断念。水面下で田尾氏へアプローチし、快諾を得た。またライブドアも、監督筆頭候補としていたオマリー氏の就任を発表する。14日の第2回ヒアリングを前に、審査をクリアした場合のライバル両社の現場トップが決まった。

 楽天は13日、三木谷浩史社長(39)が都内で田尾氏の監督就任を発表することになった。7日には阪神OBの掛布氏へ監督就任を要請したが、大リーグのスタイルを前面に押し出した球団方針や年俸などで折り合いがつかず断念。急きょ、水面下で監督候補の1人としてリストアップしていた田尾氏へアプローチを進めた。田尾氏からも、この日までに就任に前向きな意向を示された。楽天の新規参入が承認された場合、初代監督に田尾氏が就くこととなった。

 田尾氏は中日、西武、阪神で外野手として活躍。シュアな打撃で81年から4年連続で3割をマークした実績がある。指導者としての経験はないが、2年前の「日本台湾交流試合」では荒木投手コーチ(現西武投手コーチ)らとアマチュア日本代表の打撃コーチを務めるなど、打撃理論には定評がある。現役時代は甘いマスクで人気もあり、小学生時代のイチロー(マリナーズ)が大ファンだったことでも知られる。三木谷社長が強調する「華がある監督」とファンへさわやかな印象を与える人材だ。

 GMに就任したマーティ・キーナート氏(58=スポーツコメンテーター)とのパイプで白羽の矢が立ったが、評論家活動で米大リーグの取材経験があるなど、メジャー型のフロントにも理解を示している。田尾氏はこの日、「まだ何とも言えないです。こちらからコメントすることはないです。楽天さんに聞いてください」と明言を避けたが、関係者によると、監督要請を受けた時点から前向きな姿勢で、既に契約するテレビ局筋に話を通し身辺整理を済ませている。

 また同世代の中日落合監督が就任1年目でリーグ優勝を果たしたことに刺激を受け、理想の監督像も描いている。

 楽天は13日に都内ホテルで三木谷社長と田尾氏が同席して記者会見する予定で、その場で契約する可能性もある。実際にユニホームに袖を通すのは11月2日のオーナー会議で新規参入の承認を受けた場合となるが、監督決定を受け、すぐさま組閣にも着手する方針。すでにコーチ候補として数人をリストアップしている。三木谷社長が「監督、GMに関しては、10月中旬には確定したいと思っています」と語っていた通り、新球団づくりは着々と進んでいる。

※記録や表記は当時のもの