おとこ気快投だ。中4日で10年ぶりに先発したソフトバンク中田賢一投手(34)が、西武を6回1安打無失点に抑え、6勝目を挙げた。左肘違和感のため登板回避した和田の代役として期待に応えた。

 中田が緊急事態を救った。「体力と馬力だけが僕の持ち味なので、何とかそれを見せられたかな。もう1イニングあるかなと思ったけど」と、うれしそうに笑った。19日オリックス戦で先発し、6回2/3を3失点。112球を投げていたが、和田の代役として工藤監督の指名を受け、マウンドに上がった。

 初回、いきなり連続四球で一、二塁。1死後、ここまで14打数7安打、3本塁打の天敵メヒアに対し、「ここ最近、自分のボールが投げ切れている。相性は気にせず腕を振った」。2ボールから外角低めスライダーで注文どおりの遊ゴロ併殺に切り抜け、2回からはリズムよく0を重ねた。

 抹消後もチームに同行している和田からは「体大丈夫? 悪かった」と声をかけられ、試合後は「ナイスピッチング」と笑顔で迎えられた。中田は「和田さんは1年間投げてきた。チームも勝つしかない状況。任せてもらったと思って」と意気に感じてのマウンドだった。中4日先発は中日時代の06年以来10年ぶり。19日の登板後、重く感じていた。21日の休日は治療に専念。ほかの日もトレーナーからマッサージを通常より多く受けた。前日23日のブルペンで30球。体が回復したことを実感していた。

 工藤監督は「中田は気持ちが出ていた。相手(日本ハム)は気にせず自分たちは全部勝つつもり」と前だけを向く。残り6試合、勝ち続け奇跡を起こす。【石橋隆雄】