ドタバタの“引退試合”を広島ファンは温かく受け入れた。25日ヤクルト戦は今季限りでの引退を決めた倉義和捕手(41)と広瀬純外野手(37)の引退試合となっていたが、雨のため1回表途中でノーゲーム。倉が惜別パフォーマンスでファンを沸かせた。

 倉はベンチから登場するとアピールしながらシートの敷かれた打席で“エアスイング”。そのままダイヤモンドを1周、三塁側ヤクルトのベンチに頭を下げた後でホームに頭から滑り込んだ。

 倉 黒田さんにやれと言われたんで。今日しか来られない人もいるし、せっかく来てもらったので、何とか記憶に残ればと思って。新井も(やれと)言ってました。

 試合でもスタンドをほほ笑ませた。かつて女房役を務めた黒田と9年ぶりのバッテリー。しかし先頭坂口にストレートの四球で、打者1人で交代の予定通り、石原に代わるあっさりしたものだった。

 倉 いいんじゃないですか。僕らしくて。しんみりせずに。ノーゲームになったのは残念だけど、みんな喜んでもらえたのでは。(四球は)あれも僕らしい。黒田さんも難しかったと思う。(コンビを組んで)久しぶりの登板で難しかったと思う。

 今季は兼任の2軍バッテリーコーチにほぼ専任し若手育成に力を注いだ。試合出場はほとんどなく居残り特守でも指導を行っていた。来季そのまま2軍バッテリーコーチに就任する方向だ。【高原寿夫】