リーグ2位から日本シリーズ3連覇へ挑戦するソフトバンクは、今年もCS男が現れた。ロッテとのファーストステージ初戦を逆転で勝利した。CS男内川聖一外野手(34)が同点ソロを含む3安打2打点の活躍。同点の8回も内川の中前打から好機を築き、今宮健太内野手(25)が決勝2点適時打を放った。今日9日の第2戦で勝つか引き分ければファイナルステージ進出が決まる。

 リーグ3連覇を逃した悔しさを思い切りぶつけた。ソフトバンク打線に号令をかけたのは主将内川だった。2点を先制された直後の初回2死三塁で右翼フェンス直撃の適時二塁打。3回には2死から左翼ホームランテラス席への同点弾。ロッテ涌井の内角シュートを見事に捉えた。14年ファイナルステージ最終戦、昨年も同ステージ3試合すべてで決勝打を放ったCS男の勝負強さは今年も健在だ。

 「シーズン中はあんな難しい球を打ってスタンドに入ることなんてなかった。打った瞬間、アレって思った。短期決戦は打てるか打てないか、確率は5割。割り切ってやれている」

 初回、CS初先発の千賀が先頭打者本塁打を許し、青ざめている姿に気付くと、真っ先に声を掛けた。

 「緊張しているのはお前だけじゃない。緊張するな。先頭打者に本塁打なんてなかなかない。これも経験。ラッキーじゃないか。お前、やるなあ」

 気の利いた内川のひと言で千賀は立ち直った。8回の勝ち越しも、先頭内川の中前打からだった。内川は、3日前の練習で故障明けの打撃について心構えやアドバイスを送った今宮の一打で生還。主将としてチームを支える男の気配りが勝利を呼んだ。

 休養もばっちりだった。レギュラーシーズン終了後には親と家族で地元大分の別府温泉に出かけ静養。温泉につかり、マッサージも受けて疲れを癒やした。昨年はCSで肋骨(ろっこつ)を骨折し、実現できなかった「日本一の瞬間にグラウンドに立っていたい」という思いを実現すべく、敵に立ち向かった。

 工藤監督も「勝ちたい思いを強くもって、この試合に勝てた。キャプテンが率先して思いを形にしてくれた。チームにとっても明日のゲームを考えても大きい」と主将をたたえた。内川は「明日絶対勝つという思いで頑張ります」と、連勝でのファイナルステージ進出を固く誓った。【福岡吉央】

 ▼内川が同点弾を含む3安打、2打点。昨年のファイナルSでは史上初の3試合連続V打点を記録し、14年ファイナルS第6戦から5試合連続打点となった。これでCSの内川は通算19試合に出場、75打数29安打、打率3割8分7厘。安打数別の試合数は1安打9試合、2安打7試合、3安打2試合で、無安打は14年ファイナルS第5戦の1試合しかない。プレーオフ、CSで通算50打数以上の打率3傑を出すと<1>内川3割8分7厘<2>大島(中日)3割8分3厘<3>福浦(ロッテ)3割7分5厘。内川が大島を抜きトップ。