阪神が「糸井スタイル」の容認を検討していることが6日、分かった。

 FA補強の目玉に挙げるオリックス糸井嘉男外野手(35)はド派手な金髪や「宇宙人」とも言われる奇抜な言動で注目を集めてきた。伸び伸びとした環境で驚異的なパフォーマンスを発揮するタイプだけに、球団側もできる限り、寛容な対応を考慮する。

 金髪でもOK!? 阪神が「糸井スタイル」の継続容認を検討していることが判明した。今オフのFA補強の目玉とも言える糸井はド派手な言動でファンを喜ばせてきた。今季は金髪をなびかせ、35歳で盗塁王を獲得。目立ってナンボの世界で、結果を残し続けてきた。球団首脳は言う。「チームの和や規律を乱してもらっては困るが、何でもダメということはない。極端な話だが、金髪の外国人選手もいるわけだから」。

 厳しく管理して、成績が落ちれば意味がない。糸井は伸び伸びとした環境でより力を発揮するタイプだ。「宇宙人」とも言われる奇抜な言動も魅力のひとつ。もちろん、自分勝手な振る舞いを見せるわけではない。オリックスでは、遠征時にチームバスよりも早く宿舎を出発し、球場で自らの調整に時間を費やすこともあったという。野球につながるマイペースな行動は歓迎だ。自己のパフォーマンスを発揮してもらうためにも、寛容な対応を考慮する考えだ。

 もともと阪神には「宇宙人」を生み出した土壌がある。元祖的存在の新庄がいた。日米を股に掛けて、ファンの度肝を抜いてきた。実は糸井もそのプレースタイルに魅了された1人。近大から日本ハムに入団した時に、「新庄さんに弟子入りしたい。すごく好きやった」と話したことがある。京都生まれで、大の虎党。新庄の強烈な個性が潜在的に染みついている。

 さあ、糸井ウイークの幕開けだ。FA権行使の意思をオリックス側に伝えており、10日にFA宣言選手として公示される。阪神側は交渉解禁日となる11日に即日アタックに臨む予定だ。金本監督の直接出馬の準備も進み、獲得に向けたカウントダウンが始まる。新庄の再来とも言える男の加入が今から待ち遠しい。

 ◆阪神のひげ&茶髪 野村監督時代の99~01年に長髪、茶髪、ひげが禁止された。野村監督は「野球にまったく必要ない。俺は絶対に許さない。茶髪にする精神構造が分からない」などとかたくなだった。02年の星野監督以降、岡田監督、真弓監督、和田監督、そして現在の金本監督は、ほぼ選手の自覚に任せている。ただし、06年には島野2軍監督が「ファームはひげ、茶髪禁止」を通達。現在の掛布2軍監督も、同様の方針を貫いている。現状1軍選手のスタイルは自主性に任せているが、これまでひげを生やした選手はいてもド派手な金髪選手はおらず、自重していると言える。

 ◆他球団の禁止事項 球団創立者で「プロ野球の父」と呼ばれた故正力松太郎氏の遺訓とされる「巨人軍は常に紳士たれ」に従い、巨人は伝統的に規律に厳しい。61年に就任した川上監督は、シーズン中に罰金付きの厳しい門限など管理野球を徹底。アロハシャツなどだった移動時の服装も、スーツにネクタイ着用とした。長嶋監督率いる96年春季キャンプでは禁止4項目として「ゴルフ、車の運転、沖での釣り、外来者の出入り」をわざわざ壁に掲示。00年春季キャンプでは「緊張感を弛緩(しかん)させる取材はお断り」と、ワイドショーやお笑いタレントの取材を禁止。同年秋には茶髪禁止令も出た。ヒゲはご法度で、シピン、小笠原、ラミレスらは巨人移籍時にヒゲをそった。