阪神がオリックスからFA宣言した糸井嘉男外野手(35)と「水面下交渉」を行い、詰めの作業に入る。初交渉から一夜明け、高野栄一球団本部長が12日に報道陣に対応。「水面下の交渉になると思う。細部を詰めていく」と今後の見通しを語った。金本監督が猛烈にラブコールを送り、好感触を得た。合意を取り付けるため、糸井は離さない。今オフFAの目玉補強は最終局面を迎えた。

 「虎の恋人」の獲得交渉は最終局面に突入した。糸井との初交渉から一夜明け、合同トライアウトが行われた甲子園球場で、高野球団本部長が口を開いた。「進捗(しんちょく)があれば申し上げるというスタンスでいく。まだ合意はしていない。こちらの作戦もあるので、水面下交渉になると思う」。糸井側とは今後、非公開で話を進めていく方針を明かした。

 今オフの目玉補強として、FA宣言した糸井の調査を進めてきた。前日11日に金本監督が直接出馬で初めて交渉に臨んだ。「初めての恋人や」という口説き文句も用意。自らがFA移籍した当時の交渉役である星野監督ばりに、情熱的に入団を迫った。約1時間の交渉で好感触を得て、虎の糸井誕生に大きく前進した。

 これに安心するつもりはなく、攻めの手は休めない。高野球団本部長が糸井と連絡を取り、「細部を詰めていく」と言った。オリックスが提示した4年総額18億円(推定)と同等の大型契約を提示した模様。「監督に入ってもらい、ちゃんと話ができた。継続していきます」。初回交渉では、指揮官の熱意と大枠の契約内容を伝えることがメインだった。西岡がつける背番号7の提示など今後は細かい条件面についての詰めの作業に入る。

 水面下での交渉継続はライバル球団の動きを意識したものだ。オリックスも残留阻止に向けて、誠意を見せている。高野球団本部長は続けた。「うちだけの話ではない。競争しているわけですから」。契約書にサインをもらうまでは、油断は禁物。しかし詰めの作業を強調したことは、入団への手応えがあるからこそ。「V奪取の使者」の誕生まで、秒読み段階に入った。