日本ハム大谷翔平選手(22)が、早ければ来オフのメジャー移籍を球団から容認された。5日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍が話題に上り、球団から大谷自身の意思を尊重する姿勢を示された。

 高卒4年目の契約更改の席で、ポスティングでのメジャー移籍について話し合うのは異例だが、日本ハム島田球団代表は「将来のことを考えて、お互い、前もって準備をしておく必要があると思った」と話した。大谷のメジャー願望は入団前から理解している。本人にとっても、投打の柱が抜けることになる球団にとっても、意思を確認し合うことは大切なことだった。

 裏には過去の失敗例がある。11年オフに同システムを利用してレンジャーズへ移籍したダルビッシュだが、同代表はこの日「ダルには1年待ってもらった。(球団側が)差し込まれた部分があった」と明かした。前年オフにメジャー移籍を希望されたが、もともとメジャー志向の強くなかった同投手の突然の訴えに、球団フロントも驚いた。翌年への編成作業はすでに進んでいたため、本人の希望に沿うまでに1年を要した。

 移籍を容認する姿勢は、球団フロント、栗山監督含めて全員が一致している。同代表は「彼の成長スピードは、我々が考えていた以上。日本を代表する、世界一の選手になる。野球界のためにも、彼が『一番いい』というときに行かせてあげるべき」。大谷がメジャーで活躍することは、ドラフト指名した日本ハムの責任でもあり、悲願でもある。

 現行のポスティング制度には譲渡金の上限(2000万ドル)が設定されており、ダルビッシュが移籍した際に記録した5170万3411ドルという莫大(ばくだい)な金額にはならない。だが来オフ以降へ向けて、制度はMLBとNPB間の交渉で見直すことが可能。吉村GMは「日米間の重大な問題として慎重に注視する」と話した。