悲願のレギュラー獲得を果たして地元に凱旋(がいせん)する。巨人から新加入した日本ハム大田泰示外野手(26)が10日、故郷の広島・福山で行われた「第1回大田泰示杯 福山市中学生軟式野球大会」を観戦した。「初心に戻れる」と中学生のひたむきなプレーに刺激を受けた。新天地で迎える9年目へ「レギュラーを取って、ここに戻ってくる。それがベスト」と気持ちを新たにした。

 思い出の地で、現状打破への思いを強くした。今回の舞台となった福山市民球場は、運命の出会いを果たした場所だ。12年前の04年。中学2年だった大田少年が参加した野球教室で前巨人監督の原辰徳氏(58)と初対面。その後の人生は大きく変わった。「いろいろな思い出があります」という球場で、故郷の野球振興のために行われた初の冠大会。「僕ができることをやっていかないといけない」。北の大地で結果を出すことが、地元の球児の夢につながると自負する。

 記念すべき第1回大会のMVPも自ら選出した。中学時代に所属し、今回優勝した松永ヤンキースの中学2年生、加藤直央(なお)君にサイン入りバットを贈呈。加藤君からも「レギュラーを取ってほしい」と、お願いされた。「期待に応えられるように、やらないといけない」と、闘争心にも火を付けられた。表彰式後には中学生を前にした座談会も実施。広島弁で語りかけた。「プロに入って、なかなかうまくいかんけど、俺には夢がある。レギュラー取って、億稼いでという夢があるから頑張れる。野球は、いいスポーツじゃけぇ」。1年後は夢を現実にして、故郷へ舞い戻る。【木下大輔】