闘将がほえた! 楽天副会長にして、古巣・阪神への強い愛着を持ち続ける星野仙一元監督(69)が年末に大放談だ。来季、球界の展望、そして金本監督2年目の阪神へ、愛情たっぷりのカツを入れまくった。【取材・構成=編集委員・高原寿夫】

 フロントといえば、もっと勇気を持てと言いたいよな。例えばトレードがない。セ・リーグ相手はダメとかそういうことを思っていたら改革はできない。無血ではできないんだ。移籍したって野球はやれるんだから。的確に思い切ってやってほしい。

 将来、指導者にしようと思う選手がいるなら、阪神だけで「井の中の蛙(かわず)」にするのではなく、お願いしてでも出すとかね。そうすれば他球団の雰囲気、指導方法、練習方法、人間関係とか含めて。逆に阪神が恵まれてることも分かるし、こうしようとかと発想できる。

 しかし阪神はもったいないよ、本当に。これだけの市場があって。愛してくれるファンがいて。観客が入るのが当たり前という感覚がありすぎるんじゃないか。

 そんなファンに何を贈るのか。3、4年に1度は優勝をプレゼントしなきゃいけないだろ。涙を流させてやろうよ。ファンに「負けてもいい。かわいいねん」と言わせている事態をどう思ってるねん、と言いたいわ。オレは絶対にうれし涙を流させてやろうと思っていたからね。

 監督になっても「六甲おろし」をスタンドで歌うのは勝ったときだけ、というのを知らなかった。喫茶店でいたファンに「きのう歌った!」と言われて「いっつも歌っとるやないか!」と返したら「あれは外で歌ってるんや。球場で歌えるのは勝ったときだけ」と教えられて。それから「よし!」と思って甲子園では絶対勝つぞ、ってね。だから甲子園の勝率はよかっただろ。(その3に続く)

 ◆甲子園勝率 今季の阪神は甲子園で26勝36敗1分け、勝率4割1分9厘だった。7連敗が1度、5連敗が2度あり、1シーズン30敗以上は02年以来、14年ぶりとなった。02年は星野監督の1年目で30勝31敗1分け。同監督の翌03年は46勝15敗で勝率7割5分4厘。02、03年合わせて76勝46敗1分け、勝率6割2分3厘だった。