DeNAアレックス・ラミレス監督(42)がクレバーに“ニューエース”を指名した。9日、横須賀市内のベイスターズ球場で、今季の開幕投手(3月31日ヤクルト戦=神宮)は石田健大投手(23)と発表。昨季9勝を挙げた能力だけでなく、相性、シーズン日程、被打率を考慮して決断した。リーグ優勝に向けた頭脳的判断で、若き左腕に先発の軸を託した。

 スーツ姿のラミレス監督は、自信に満ちた表情で切り出した。「2017年のDeNAのニューエース、そしてオープニングピッチャーは石田健大。優勝に貢献してくれると確信している」。成長著しい3年目左腕に、重責を託した。

 勢いや期待値だけではない、明確な裏付けがあった。制球力、球威を魅力とした上で「一番は横浜スタジアムで結果を出している」と続けた。昨季の石田の本拠地成績は14戦で5勝(1敗)、防御率2・76。好成績を残した。最も多く戦うホームでいかに白星を伸ばせるかは、順位の行方に大きく影響する。

 「4月の対戦カードも(判断材料に)入っている」と、日程も考慮した。開幕から5週間の週末の相手は、ヤクルト→中日→ヤクルト→中日→広島の順。石田は昨シーズン、この3球団から2勝ずつの計6勝を挙げ、黒星は1つしか喫していない。中6日で回れば、お得意さま相手のカード頭に当てることが可能。しかも、後半3カードは全て重視するホームゲームだ。

 さらに被打率もファクターに加えていた。「石田は右打者に対する防御率が非常にいい」という言葉通り、昨年の対右打者の被打率は2割1分2厘。対左より5分以上低い。開幕ヤクルト戦で最も注意すべき打者は、言わずもがな、山田。昨季、トリプルスリー男を9打数1安打に抑え込んだ実績は、スタートダッシュに向けた好材料となる。

 頭脳的に開幕投手を決めた一方で、本人への通達には敬意とこだわりを込めた。今月6日、六本木の高級鉄板焼き屋で石田と会食。昨年末、筒香に今季も主将を託すことを伝えた食事会と同じ店を選んだ。「俺がエースなんだと感じてもらえる場所を選んだよ。(石田は)感極まっている感じもしたね」と笑った。

 ラミレス監督にとってエースとは「勝たなければいけない日に使う」投手。信頼と自信を込めて、若武者を大舞台に送り出す。【佐竹実】