ソフトバンクのドラフト1位・田中正義投手(22=創価大)が9日、大フィーバーの中、福岡・筑後市のファーム施設で新人合同自主トレをスタートさせた。入寮式後、午後から練習を開始。異例の100人を超えるファンが見守った。前日8日の入寮日からはツイッターも開始。1日で1万以上のフォロワーが集まった。大きな注目の中、黄金ルーキーがプロ野球選手としての第1歩をスタートさせた。

 田中が注目を一身に集めた。室内練習場を見学できるガラス窓の外には3重、4重のファンの列ができていた。昨年までの西戸崎合宿所はここ数年、見学ができなかったため、過去とは比較できないが通常のファームの練習では考えられない異例の100人超えだ。報道陣も50人を超え、田中が動くたびにシャッター音が鳴り響いた。

 第2球場での200メートル走では、多くのファンの視線を浴びながら13本を激走。途中、きつそうな表情で腰を押さえる場面もあったが「ファンの方に喜んでいただくのもプロの仕事のひとつなのかなと感じました」と、注目を力に変えた。

 入寮した前日8日からはツイッターも始めた。「大学では禁止ではなかったがあまり好きじゃなかった。プロなので。自分がファンだったらどういうことを知りたいのか、ツイートが楽しみになるように」と、ファンを思う気持ちから意識を変えた。まだ「本日入寮しました」などとしかつぶやいていないが、わずか1日で1万人以上からフォローされている。

 昨年12月に一緒にトレーニングをする機会があったレンジャーズ・ダルビッシュはツイッターで活発な議論を行っている。田中は武田や今宮、創価大の先輩石川らのツイッターをフォローした。「マネをするよりも自分でやればいい」と、今後、田中色を出していくつもりだ。

 同じ室内で自主トレ中だった和田を見つけ、あいさつした。「36歳であれだけすごい球を投げている。勉強して吸収したい。まずは聞けるように自分のポジションを勝ち取りたい。今聞いても浅い会話になる質問しかできない」。1日も早くプロで結果を残すことを改めて胸に刻んだ。

 とはいえ焦りはない。この日のキャッチボールは「6、7割」。それでも受けたドラフト3位・九鬼隆平捕手(18=秀岳館)は「(西武ドラフト1位の)今井のようにキレがよくて伸びてくる。重さもあってどっしりしている」と球質に驚いた。

 12日以降の自主トレ第2クールからはブルペン入りする予定。「ケガせず不安なく2月1日にブルペンに入ることが一番です」。真っ白なユニホームに袖を通すまで、あと22日。田中は万全の状態をつくっていく。【石橋隆雄】