特別な年にする! 中日荒木雅博内野手(39)が10日、故郷熊本の思い出の地を巡り、通算2000安打達成を誓った。熊本工時代によく走った県民総合運動公園や生まれ育った菊池郡菊陽町で自主トレを公開。キャッチボールやティー打撃で汗を流した。ふるさとの空気を力に、残り39本に迫る節目の記録へ走りだした。

 慣れ親しんだ地を巡り、荒木は気持ちが高ぶっていた。高校時代を思い出しながら寒風吹く中、徐々に速度を上げダッシュを繰り返した。荒木の原点、菊陽町に移動すれば田畑を望みながら打ち込んだ。のどかな風景の中で緊張が漂った。

 「今年の目標はもちろん2000安打の達成。(地元で)野球教室を3回やって、大変なこともあった中であれだけ明るく野球をやっているのを見た。達成をすることで熊本に喜びになってくれれば。そういう気持ちが強い」

 昨年4月、熊本地震が発生。年末や前日9日には選手会の「熊本地震復興支援プロジェクト」にも参加した。行く先々で、地元の人たちからはエールを送られる。そのたびに荒木は笑顔で応えていた。

 育った故郷の空気を吸い、決意は固まった。1月4日に菊陽町の実家で親族や近所の人が集まり、新年会が開かれた。普段は前に立って目標などは口にしない荒木が「僕の節目の年です」とあいさつしたという。支えてきてくれた両親や家族に、あと39本に迫った偉業到達を誓った。

 昨季終了後は2カ月間バットを置き、熊本工の先輩で通算2119安打の元広島前田智徳氏ら左右関係なく十数人の打者を動画サイトでチェック。「勢いでしか打撃をやってこなかった。ここまでやらせてもらってるから勉強しようと思って」。プロ22年生ながら今も進化を求めている。

 史上初の2000安打を達成した「打撃の神様」故川上哲治氏を生んだ熊本から節目のシーズンをスタート。偉大な大先輩の背中を追い、荒木が記録達成に向け歩を進める。【宮崎えり子】