ソフトバンク本多雄一内野手(32)が11日、60盗塁を決めた11年以来6年ぶり3度目の盗塁王に向け、新走法を手に入れたことを明かした。この日、佐賀の嬉野温泉で自主トレを公開し、ダッシュを披露。ドジャース前田がイニングの合間に行うマエケン体操のように腕を大きく回し、水の中を泳いでいるかのようなフォームで、急坂を何度も駆け上がった。

 「腕を左右に振ると骨盤の動きに制限が出てくる。より速い回転で足を前に出しやすくするためには手をどうやって使えばいいか、いろいろ試して見つけた」

 上半身の力を抜き、骨盤を前に出すイメージだ。今オフ、関節の可動域を広げる初動負荷トレーニングに着手し「体の柔軟性を最大限に生かせる走り方を探そうと思った」。昨年12月に久留米で行っていた自主トレ中に、新フォームにたどり着いたという。

 肩甲骨の柔らかさを保ち、体幹をフルに使うことがスピードアップにもつながる。昨年2・84秒だった20メートル走が2・78秒にアップ。「去年にはなかった走り。体の軸がブレずに走れているし、タイムも盗塁王をとった時と大きな差はない。あの時と同じような感じでできている。柔軟性を出し切れば(盗塁王の)可能性はあるかな」と、手応えを口にした。

 自主トレでは、スケート選手が練習で使うスライドボードを導入するなど、フォーム固めにも余念がない。今季は全143試合フルイニング出場することで、昨年23個だった盗塁数を40以上に増やすことが目標。残り16個とする通算350盗塁も通過点だ。盗塁量産を狙う本多が、V奪回の先頭を突っ走る。【福岡吉央】