「越後のトルネード」がアピール大作戦に成功した。育成1位のルーキー巨人高井俊投手(21=BCリーグ新潟)が1日、ジャイアンツ球場(川崎市)でキャンプイン。主にリハビリ組と育成選手が参加する3軍キャンプで、名刺代わりのトップパフォーマンスを披露した。

 高井が初日から首脳陣の目をくぎ付けにした。まずはウオーミングアップ後に行われた持久走で、参加29人の中で1位の12分5秒でゴールイン。1周300メートルを10周走り、4周目で早くもFA移籍の山口俊を周回遅れにすると、残り1周で並走していた同じ育成の橋本篤郎投手(18)をかわした。

 室内に場所を移したブルペンでも、異彩を放った。視察した内田順三巡回打撃コーチ(69)を「野茂がいるぞ!」と驚かせたように、元ドジャース野茂そっくりのフォームを披露。この日ブルペンに入った8投手の中で、こちらもトップの直球のみ60球を投げ込んだ。「バランスを崩したのは1、2球くらい。3000メートルを走った下半身で、よく耐えたと思います」と内容にも満足した。

 先輩の言葉を実践した。BC新潟時代の同僚で、14年まで巨人に3年在籍した元投手の雨宮敬さん(29)から「2月1日の初日から何でも1番で帰ってくるつもりで、常にアピールする気持ちを忘れずに」との助言をもらって、送り出された。高井は初日を振り返り、「2月1日は新人が一番期待される日。そういう心構えで準備してきたので、いい感じでアピールできたと思います」。午前10時のアップから、午後5時のウエートトレーニングまでを完走。充実感に浸りながら、寮までの往復に利用する自転車のペダルも軽かった。【中島正好】