阪神は8日、沖縄・宜野座球場でチーム初実戦となる紅白戦を行った。

 突然、スコアボードが光った。空欄だった白組9番の欄に「D鳥谷」の表示が出た。「9番、DH、鳥谷~」。まさかのサプライズ演出に宜野座球場全体がどよめいた。チーム初実戦の紅白戦。鳥谷がその瞬間、藤浪から主役を奪った。

 鳥谷 室内で打ち終わったら、監督から「9番空いてるぞ! 出るか?」と言われて。はい、分かりました、と。いやいや、僕もビックリしましたよ。

 午後1時10分の試合開始直後、宜野座ドームで個別メニューのフリー打撃を始めた。打ち込みを終え、福留と2人でいると金本監督から声をかけられ、すぐにヘルメットをかぶった。出場予定はなく、本人も驚きの17年初実戦だ。3回裏2死、マウンドには藤浪。直球をファウルした直後、高めのカーブにこらえながら反応。力強いライナーで右翼線に弾ませると、指揮官は思わず拍手した。

 金本監督 (9番が)空いていて孝介(福留)とトリがおったから、「どっちか出ろや」と。ファンサービスで。顔見せです。サプライズで結構、喜んでくれた。打ってくれて、余計に喜んでくれた。藤浪はガクッときただろうけどね。

 指揮官は試合後、してやったりの笑顔だ。キャンプではスタンスが昨季より狭まり、右足のつま先でリズムを取る、マーリンズ・イチローに似た新フォームにも挑戦中。本人は「まぐれです。まだどうこう言う時期じゃない」と笑い飛ばしたが、金本監督は「いきなり来た変化球で、高めの甘い球とはいえ、よう打ったね」と評価。遊撃レギュラーを巡る北條とのバトル。1歩も引くつもりはない。【佐井陽介】