貴重な左腕として、先発ローテ入りへアピールした。日本ハム上原健太投手(22)が19日、沖縄・宜野座で行われた阪神との練習試合で、3回から2番手として登板。昨季セ・リーグ新人王阪神高山との「明大同期対決」で空振り三振を奪うなど、2回を1安打無失点に抑えた。今季実戦は3試合7回を投げて自責点0と、2年目の巻き返しへ向かう。

 上原は今季3試合目の実戦でも得点を与えなかった。3回から2番手で登板。先頭に右前打を打たれ、いきなりピンチを迎えたが併殺、三振で切り抜け、続く4回も打者3人で仕留めた。ブルペンで調子が上がらなかった中でのマウンドだったが、「こうやってまとめられているのは、次につながる内容かな」と、自身の成長を感じている様子だった。

 プロ入り後、心待ちにしていた初対戦も実現した。4回1死走者なし、3番高山が打席に立った。明大時代の同期で15年ドラフト1位同士。「相変わらず(打席に)入って来るの遅い。すごい時間をかけて入って来る。そのへんは変わってないと思った」。相手の間合いや、虎党の応援の声にも惑わされない。カウント3-2、120キロのチェンジアップでバットで空を切らせた。「高山は負けず嫌い。自分もあいつにだけは負けたくないので、ちょっと楽しみながらも、ちょっと意地を張りながら投げました」。

 相手は昨季、セ・リーグの新人王。「あいつならやるかなと思ったけど、そこをしっかり取ったのがすごいなと思う」と、実力を認めている。1軍登板1試合だった自身に対して結果を残す姿に「刺激になった」と、2年目の今季は追いかけ、追いつく覚悟だ。

 左腕不足のチームにとっても光明だ。先発候補とみられるのは、同じ2年目で昨季7勝を挙げた加藤と、新加入で未知数のエスコバーぐらい。昨季の上原を「試合の中でなかなか自分のパフォーマンスを出せていなかった」と残念がっていた栗山監督は、この日の力投に「変化球で腕が振れるし、楽しみになってきた」と期待を高める。

 巻き返しを狙う2年目へ、190センチ左腕は「自分の持ってるものを最大限にアピールして信頼をしてもらえるように、先発を任せてもらえるように、これからもどんどんアピールしていきたい」。貪欲に上を見つめている。【保坂果那】

 ◆昨季の上原 ドラフト1位の即戦力と期待されたが、キャンプで腰痛を発症し、調整が大幅に遅れた。1軍登板は最終戦9月30日ロッテ戦(札幌ドーム)の1試合だけで、4番手で打者4人を1安打1三振で無失点。イースタンでは18試合に登板し、46回1/3を投げ、1勝4敗、防御率5・63だった。

 ◆日本ハムの先発争い 右腕は右足首痛で開幕は絶望的だが大谷、昨季チーム最多11勝有原、昨季新人王高梨、来日4年目メンドーサ、米球界帰りの村田、復活を目指す斎藤、上沢、浦野にブレーク候補の石川直ら豊富にいる。左腕は昨季7勝した2年目、加藤はいるが、新外国人エスコバーは未知数で、計算できる投手が少ない。