球界の「元祖鉄人」衣笠祥雄氏(70)が23日、阪神の沖縄・宜野座キャンプを訪れ、22歳北條と遊撃争いを演じる鳥谷に「三塁のススメ」を説いた。2215試合連続出場の日本記録を持つ衣笠氏は室内で、鳥谷の打撃練習を食い入るように見つめた。「ショートで出来ると思っている」と遊撃勝負を公言してキャンプを過ごす鳥谷に対し、三塁という新たな道を示した。

 「本人がショートにこだわりがあるというのは十分に分かるけど、そういう道もある。それは(連続試合出場という)記録のためでもないと思う」

 どうしても気になる存在だ。鳥谷は昨年7月24日広島戦で先発を外れ、連続フルイニング出場が667試合でストップ。遊撃レギュラーの座を失った。歴代2位の金本監督(1766試合)に続き、鳥谷は同3位の1752試合連続出場を継続中だが、その苦しみは痛いほど分かる。「リプケンだって同じことを言う。役に立たなければ何の意味もない。野球は個人プレーではないんだから」と、世界記録の2632試合連続出場を記録した遊撃手カル・リプケンを持ち出し力説した。

 球場の通路で鳥谷とすれ違うと「ケガするなよ。ケガしちゃダメだ。頑張れよ!」と声をかけた。鳥谷も打撃手袋を外して「ありがとうございます」とガッチリ握手。鉄人と呼ばれた男だけが分かるエールを受け取った。【桝井聡】