西武の新外国人、ブライアン・シュリッター投手(31=ロッキーズ傘下3Aアルバカーキ・アイソトープス)が、ベールに包まれていた実力を見せつけた。高知・春野での2次キャンプ最終日、打撃練習で来日後初めて打者相手に登板。最速157キロを誇る重い速球に加え、150キロの「シンカー」をコースに決め、27球で安打性の当たり0本と圧倒した。辻監督ら首脳陣もセットアッパー、抑えとして期待した。

 打球が前に飛ばない。シュリッターの剛球が、愛斗、中田、呉の3人を打撃ケージの中に押し込めた。呉が三ゴロ性2本、中田が二飛性1本をフェアグラウンドに飛ばしたが、後は差し込まれたファウルがケージ内に弾んだ。新外国人は「いい感触では投げられた」と事もなげだったが、打者陣は打席を出るなり周囲の選手に「速い」「重い」「エグい」とまくしたてた。

 土肥投手コーチは「特に右打者の内角を突く球が良かった」と満足げにうなずいた。シュリッター本人が言うところの「シンカー」。196センチの長身から投げ下ろされたボールが、150キロ前後のスピードでシュートしながら、わずかに沈む。「任せるのは短いイニングになると思うので、あれだけで抑えられるんじゃないかとさえ思います」とまで言った。

 圧巻の投球に、辻監督や主砲中村もケージ裏で足を止め、思わず球筋に見入った。捕手を務めた森も「あれはかなりいい球。エグいですよ」と言葉が弾んだ。「シュート」と「スプリッター(フォーク系の落ちる球)」を足して2で割った「シュリッター」とも呼べるボール。まさに代名詞になりそうな武器だ。

 口元に長くたくわえたヒゲがトレードマーク。14年にカブスで61試合に登板した当時は「投げるキリスト」「のんびりしてるとアイツのひげがベルトまで伸びる」などと話題にもなったという。しかし、本当に注目すべきは、見た目よりも繰り出す剛球。西武リリーフ陣に、頼りになる新戦力が加わりそうだ。【塩畑大輔】

 ◆ブライアン・シュリッター 1985年12月21日、米国イリノイ州生まれ。10年にカブスとメジャー契約。ヤンキース、フィリーズなどを経て14年に再びカブスとメジャー契約すると、その年は中継ぎとして61試合に登板。昨季は3Aアルバカーキ・アイソトープスで36試合に登板した。メジャー通算78試合3勝6敗、防御率5・40。196センチ、107キロ。右投げ右打ち。