“二刀流”ならぬ“二足流”で完全復活を果たす。右股関節手術からの復帰を目指す巨人杉内俊哉投手(36)が2月28日、沖縄キャンプで実戦形式の打撃練習に登板した。打者6人に安打性の打球は2本。故障離脱前の15年7月以来となる1軍打者相手の投球で復調をアピールした。今季は患部の負担減を狙い、マウンドの硬軟で2種類のスパイクを準備。1軍での実戦登板に向け、準備を整えていく。

 杉内が左足を高くはね上げた。3人目の打者ギャレットへの、カウント2-2からの5球目。股関節手術の影響を感じさせない躍動感のあるフォームから投じた得意のスライダーで、空振り三振に仕留めた。1軍で実戦形式のマウンドに上がったのは約1年半ぶり。「久々でうれしかった。緊張感がありましたね。(死球を)当てなくて良かったです。真っすぐも変化球も悪くない」とうなずいた。

 復活に向けて「5ミリ」にこだわった。踏み出した右足の裏で地面の土をつかみ、左足を蹴り上げる投球動作は股関節に負担がかかる。これまでは長さ10ミリの刃のスパイクを使っていたが「日本のマウンドは硬いから土に刃が入りすぎると動きにくくなる」と患部への悪影響を考慮。地面から受ける衝撃を軽減させるため、硬いマウンド用に刃を5ミリに短くした新スパイクを作製した。

 軟らかいマウンドには従来の「10ミリ」刃のスパイクを使用。「雨の日とか地方球場では、土をつかめるように長い刃のものを使おうかなと思います。試合中でも考えてやっていきます」。常に2種類のスパイクを持参しマウンド状況を見極めて使い分けていく。

 この日は長さ5ミリのスパイクを履いた。患部を気にすることなく、真剣勝負を挑んでいった。「問題なく投げられました。球速はもう少し上がってくると思う。股関節も何ともないしケアをしながらですね」とうれしそうに話した。

 次のステップは実戦登板になる。キャンプ終了後は1軍を離れて調整し、3月上旬の2軍戦登板を目指す。「これからは1軍で戦力になれるようにアピールしていくしかない。試合じゃないと対応できないこともあるのでどんどん投げていくしかない。やるしかない」と力を込めた。復活の日に向かって、力強い1歩を踏み出した。【浜本卓也】

 ◆杉内の故障後の経過 15年7月21日の阪神戦登板を最後に股関節痛で戦線離脱。同10月に右股関節手術を受けてリハビリを開始した。16年7月19日のBC武蔵戦で364日ぶりに実戦登板し、1回無失点で最速137キロをマークした。イースタン・リーグでは4試合に登板して1勝2敗、19イニングで11失点。同8月下旬の登板後はペースを落としたが9月中旬に投球練習を再開。11月の宮崎秋季キャンプでは周囲をうならせる投球を披露した。今春の宮崎キャンプは2軍スタートだったが、沖縄キャンプから1軍に昇格した。