通算533犠打の世界記録保持者、巨人川相昌弘3軍監督(52)が1日の3軍キャンプで、実演を含めたバント講座を開講した。

 進塁打と犠打、スクイズを繰り返したシート打撃の直後、豪華すぎる実演付き講座が始まった。「ちょっと集まろう」と選手を本塁付近に集め、バットを手にして打席へ入った。左打者が三塁線に転がす打球が総じて弱く、ミートポイントもずれていた点が気になった。「みんなバットの先に当てすぎている。もっと根元にしっかり当てて、ピッチャーと三塁の間に転がす。打球が死にすぎるとアウトになってしまう。そして後ろの足はこうするんだ」。

 左打席に入って、左足を一歩前へ。打撃投手にほぼ正対する形でバットを構え、正確なゴロを逆方向に転がし続けた。三塁ベースに当てる打球があれば、投手と三塁手の中間を転がす打球もあった。「25年前くらいに両打ちの練習をしていたからね。ボールをよく見て、しっかり当てるだけだから。久しぶりでも、なんてことはないよ」。事もなげに振り返ったが、周囲からは「おお~」と感嘆の声が飛び交った。

 川崎市のジャイアンツ球場で始動した3軍キャンプ初日から、自らバットを手に犠打の指導を行っていた。「当たり前のことを当たり前にできなければ、1軍には上がれない」。自らの経験を元に小技の重要性を説いてきた。左打ちの育成ドラフト8位、松沢裕介外野手(24=四国IL・香川)は「世界記録を持っている方の技術。すごすぎました。忘れないようにしたい」と目に焼き付けた。時に言葉だけでなく背中で教え、未来の1軍主力選手を育てていく。