ステージ上となるマウンドで、ベテランの風格さえ漂わせた。楽天ドラフト5位の森原康平投手(25=新日鉄住金広畑)が、開幕1軍入りへ向けて最高のパフォーマンスを決めた。DeNAとのオープン戦(倉敷)に、6点ビハインドの9回に4番手で登板。1死走者なしから、シリアコの内角を突く147キロ直球で見逃し三振。140キロ台後半の直球を中心に、危なげない投球で3者凡退に仕留めた。「直球を低めに集めることを意識している」とうなずいた。

 体中に流れる、お気に入りのリズムが投球のテンポを後押しした。歌手・浜崎あゆみの大ファン。試験的にではあるが、同歌手の「Boys&Girls」を登場曲に使用した。入寮時には、ライブのDVDやタオルを持参するほどの筋金入り。「だいぶ恥ずかしかったですけど。やっぱり普通に盛り上がる曲の方がいいんですかね」と言うが、最大限のリラックス効果となった。

 淡々とマウンドを降りる姿にアリーナ、いや球場からも拍手が送られた。梨田監督も「堂々としているよね。雰囲気ある」と、目を細める。与田投手コーチからは「将来的な可能性もすごく秘めている。今度は長いイニングを投げながら、見ていきたい」と、ポテンシャルを評価された“あゆオタ”ピッチャー。チームが目指す優勝までの「Voyage」に欠かせない存在を目指す。【栗田尚樹】