巨人岡本が理想の弾道を描いた。中日戦の2回1死、村田が1号ソロを放った直後に小熊の直球をすくい上げた。両翼92メートルという狭さと強風の影響はあったが、打球は左翼席に落ちた。オープン戦1号を含め2打数2安打2打点。それでも「(本塁打は)風が強かったから入っただけ。東京ドームなら左飛だから、次の打席はしっかり低い打球でミートしようと思った」と笑顔はなかった。

 追い求める本塁打の軌道がある。1軍初昇格直後の15年8月28日の中日戦。村田が左翼に高々と3ランをぶち込んだ。「あれがホームランやなと思いました。きれいですよね。僕も打ちたい」。滞空時間の長い、大きな弧を描けるのが長距離砲だと実感した。

 この日も村田が左翼へ打球を舞い上がらせた。次打者席で見届けると「力まずにいこう」と言い聞かせ、同じ左翼へ、背中を追うスラッガーよりも高い軌道でスタンドに届けた。高橋監督は「本塁打は本塁打。いいアピールになったと思います」と目を細めていた。昨年のオープン戦では打てなかった1発にも、岡本は「開幕1軍に向けて打たないといけない」と表情を引き締めた。【浜本卓也】