安定感を誇ってきた阪神リリーフ陣がつかまった。3-2と1点リードの8回に3番手マテオが失点すると、9回には鳥谷の失策も重なって、松田-高橋のリレーでサヨナラ負けを喫した。救援投手に黒星がつくのは、開幕2戦目の4月1日広島戦以来13試合ぶり。チームは3位に転落した。

 尾張の虎党からため息が漏れた。3-3の9回、2死二、三塁。阪神5番手高橋の内角球を中日のルーキー京田が振り抜いた。三塁へ転がった打球を前進守備の鳥谷がまさかのファンブル。握りなおして一塁に送球したが、間に合わなかった。今季2度目のサヨナラ負け。連勝もストップし、順位も巨人に抜かれて3位に転落した。

 奮闘を続けてきたリリーフ陣のほころびが、劇的な結末を招いた。8回。1点リードの場面でセットアッパーのマテオが悠々とマウンドに登った。確立しつつある「勝利の方程式」だ。ところがそのマテオが先頭の左打者亀沢に左前打を浴びる。そこから2死二塁とされると、3番の左バッター大島にスライダーをレフト前に落とされて同点とされた。

 9回には松田、高橋と勝負どころで投手を注ぎ込んだが、傾きかけた流れを止めることは出来ず。最後は勢いづいた相手に寄り切られた。マテオは開幕から10試合目の登板とフル回転。2勝7ホールドと安定感を誇ってはいるが、金本監督は「左バッターの対策というかね。キャンプからずっと言ってるけど。何か覚えてくれないと」と指摘。直球とスライダー主体の投球スタイルに、プラスアルファの工夫を求めた。

 試合終了後に報道陣に囲まれた金本監督は悩ましげな表情で「う~ん」とうなった。「接戦は接戦。昨日と一緒で。こういう試合、勝てるようにしていかないといけない」と総括した。マテオは「次から集中してしっかり臨みたい」と切り替えを強調したが、勝ちパターンが崩れて競り負ける嫌な敗戦。「奪首ウイーク」と乗り込んだ名古屋だったが、これで最下位ドラゴンズに1勝1敗。金本阪神最多となる貯金5もお預けになった。【桝井聡】

 ▼マテオは今季、左打者のべ21人に対し、被打率5割3分3厘(15打数8被安打)。4与四球と合わせ、半数以上の12人に出塁を許している。右打者27人に対しては、被安打0を継続中。昨季は対左打者被打率1割8分4厘(98打数18被安打)と抑え込んでおり、今季の苦手ぶりは深刻だ。