阪神北條史也内野手(22)が持ち前の反発力をみせた。同点の8回2死満塁。中日祖父江に2球で追い込まれながら、3球目の外角147キロ直球を仕留めた。勝ち越しの右前適時打だ。右手で小さく拳を作りながら走り、一塁ベース上でガッツポーズと喜びを爆発させた。

 北條 インコースはないと思ったんで。当たってもいい。逆球だったかもしれないけど、結果が出て良かったです。

 打席に向かう前、片岡打撃コーチの「インコースはないんやから、踏み込んでいけ。おいしいところやんけ。思いっきり打ってこい」との助言に最高の形で応えてみせた。

 試合前時点で、得点圏打率は5分9厘。規定打席到達者の中で、両リーグワーストだった。前日4月29日の一戦では、1回に一塁への悪送球など失点につながる失策を犯し、チームは敗れていた。だが、今季最多の4万6351人の観衆を集めたこの日、今季初めてのV打。「ライト方向に打てたら率も上がると思う。どんどん打率を上げていきたい」と言い切った。

 チームにとっても大きな勝利だ。首脳陣は今季初めて鳥谷をベンチスタートさせ、新外国人キャンベルを三塁で先発起用。だが、1回にそのキャンベルが適時失策を犯し、先制を許していた。敗れていればショックが残りそうな展開だったが、痛快な逆転勝利となり、金本監督も「昨日はミス絡み、今日もいきなりミスというところでよくひっくり返してくれた」。首位広島とのゲーム差は1に。再びコイのシッポを視界に捉えた。【山川智之】