西武がローテ再編で巻き返しをはかる。

 4日ソフトバンク戦では先発十亀の7失点が響き、一時は1点差まで迫りながら敗れた。これでこのカード3連敗。4月25~27日オリックス戦に続き、火、水、木曜の3連戦で2週続けて「3タテ」を喫した。

 火、水、木曜日の先発を任される“裏ローテ”から、今季いまだ勝利投手が出ていないということもある。土肥投手コーチは「当然、これからのことはいろいろと考えています」と話した。今回の連敗より前に、すでに手は打っている。

 土曜日の先発を任され、防御率2・53と安定する野上を、火曜日の先発に回すことを決めていた。最短で9日から再編できるタイミングで動きだしていたが「来週は火曜日が高橋光、水曜日が十亀で行きます。その次から野上を火曜日に移します」と明かした。

 今回の連敗で借金1となったが、4月下旬には一時、貯金5を数えるまでになった。原動力は先発投手陣。チーム防御率は2点台前半が続き、4月を通して12球団ナンバーワンだった。しかし辻監督はそのころから「先発が足りない。誰かが出てこないと、6連戦が始まれば厳しくなる」と話していた。

 その言葉通り、4月最終週に初の6連戦を迎えると、辻監督、土肥投手コーチの苦心のやりくりで好転していた投手起用に、暗雲が垂れ込めた。その初戦の25日オリックス戦で、今季4回目の先発をした多和田は、この日も5回を被安打8、5失点と試合をつくれず2敗目。手薄な陣容の中で「右のエースになってくれれば、何とかローテが回る」と期待された2年目右腕は、直後に右肩の軽い炎症で登録抹消となった。

 今回のソフトバンク3連戦では、多和田が不在となったカード頭の火曜日の先発には、やむなくキャンデラリオをあてることになった。そしてその新外国人右腕は3回被安打9、7失点で降板。ソフトバンク打線に火をつける結果になってしまった。

 土肥投手コーチはこの炎上劇の前から、すでに策をめぐらせていた。開幕投手を務めたエース菊池の金曜日に始まり、野上、ウルフが先発する週末の試合では、チームは全12勝中10勝を挙げている。この好調な“表ローテ”から、野上を火曜日の先発に回す準備を進めていた。

 野上は敗れた4月15日ロッテ戦などでも、8回を被安打3、1失点と健闘。続く22日日本ハム戦でも7回被安打3、無失点で勝利投手になるなど、好投が続いている。投球術にたけ、冷静な観察眼もあり、カード頭を任せるのに十分な実力を備える。

 捕手陣からは「カード頭で先発すれば、その試合をつくるだけでなく、その後の2試合の布石を打つような投球ができるタイプ」と、配球を助けてくれる存在としても信頼されている。【塩畑大輔】