楽天則本昂大投手(26)が、ロッテ6回戦(Koboパーク宮城)で球団新記録となる4戦連続2桁奪三振をマークした。12個の三振を積み上げ、奪三振数でリーグ単独トップに躍り出た。9回を無失点に抑え、チーム初の完封勝利も手にした。「神ってるドクターK」が、新たな歴史を打ち立てた。

 則本は、天に高々と右手を突き上げた。5点リードの9回2死一塁。福浦を150キロ直球で遊飛で片付け「よっしゃー」とほえた。三振は12個奪い、球団新記録となる4試合連続の2桁奪三振。華やかな三振ショーに添えた100球での完封。「前回(3日オリックス戦)は完封目前で出来なかった。本当に悔しくて。三振の数よりも、球数を少なくいけたことが自分としてもうれしい」。前回登板前に巨人菅野から連絡があり、完封指令を受けたが、無失点で迎えた9回に2失点。「次やれるように頑張ります」と誓った約束を果たした。

 チーム一番乗りの完封劇を支えたのは、紛れもなく「K」だった。「2ストライクと追い込んで、次の球で勝負出来た」。12個の三振のうち、4球以内に三振を奪った数は「9」。5度の3球三振と驚異の省エネ投法だった。序盤は直球押し。中盤から新球スプリットで、目線を外した。6回1死一塁から細谷、鈴木を連続三振。前回登板で初めて試した握りの浅い、スプリットで空振りを誘った。「(鈴木)大地さんの頭にもなかったと思う」。シーズン中に習得した武器を加える「神がかった」投球も効いた。

 思えば、幼少期から「神っていた」。幼稚園のころだった。スケートボードにうつぶせで滑っていた時、勢い余って大きな道路に出てしまった。目の前からジープ型の車が向かってきたが、則本少年は車の下をくぐり抜け、無傷で笑っていたという。「当時のことは全く覚えていないんです。でも家族や近所の人から教えてもらって。あ、俺って何か持っているんだなって。神っていますね」と、奇跡体験には慣れていた。

 梨田監督が「あらためて、ノリのすごさを感じた。球団に来て、一番の投球だった」と最敬礼すれば、与田投手コーチも「今日は何も言うことがありません」と脱帽するエースの投球。今季6試合目の登板で、計56奪三振。ソフトバンク千賀を抜き、リーグ1位に躍り出た。昨季まで3年連続の奪三振王は、今年も「K」がよく似合う。【栗田尚樹】

 ▼則本が12三振を奪い、4月19日西武戦から4試合連続2桁奪三振。連続2桁奪三振のプロ野球記録は91年野茂(近鉄)の6試合で、4試合以上続けたのは14年能見(阪神=5試合)以来11人、21度目。楽天では初めてだ。則本の2桁奪三振は通算25度目となったが、2桁奪三振で完封勝ちは14年9月19日日本ハム戦以来、4度目。