セットアッパーとして意地の「足技」だった。ソフトバンク岩崎が、窮地を華麗な?インサイドトラップで救った。「本当はやっちゃダメなんですけど」。苦笑いで振り返ったピンチの場面。1点差に詰め寄られてマウンドに上がった8回1死一、三塁。ウィーラーへのカウント3-1からの5球目はマウンド正面への打球。岩崎はとっさに右足を出し、かかと付近でボールを止めた。すぐさま捕球すると捕手へ転送。三塁走者を挟殺した。続くアマダーは遊ゴロに仕留め、ホームを死守した。

 「(中田)賢一さんも頑張っていたし、とにかく三塁走者を返さないと思っていた。低めを意識して投げた。それだけ」。首位楽天の反撃を断ち、チーム5連勝へ最高のバトンを渡した。ケガの可能性があるだけに投手としてはご法度とされるプレーだが、勝利への執念がそうさせた。

 熊本震災から1年。ファンの熱い声援も胸に響いた。「これからも野球で笑顔を届けたい」。お立ち台に上がった背番号17は盤石の勝利の方程式を目指し、力強く言い切った。【佐竹英治】