楽天辛島航投手(26)が日本ハム戦(秋田)に先発し、6回途中2失点の好投で今季4勝目をマーク。今季最多となる貯金15に貢献した。1回に先制点を許したが、2回から5回までは3者凡退に抑えた。6回途中交代に「次は投げきりたい」と反省したが、先発の役割は果たした。打線も3回にゼラス・ウィーラー内野手(30)の逆転3ランが飛び出すなど6得点と援護した。

 辛島が“三度目の正直”で秋田の地で勝利を飾った。「これまで秋田で2回投げて、1回も勝てていなかった。今日こそは勝ちたいと思った」。過去2戦の成績は0勝1敗だが、11イニングを投げ防御率2・45と安定していた。この試合も6回途中2失点の好投。ついに白星を手に入れた。

 初回、先頭西川に安打を許し、1死一、三塁から中田の犠飛で先制を許した。「最初はボールがどこに行くかわからず、どうしようかと思った」。だがカーブを効果的に使って、尻上がりに調子を上げた。「カーブは力むと投げられない。ちゃんと投げられれば、自然と力を抜いて腕が振れている証拠だから、調子が悪い日は多く投げる」と振り返った。2回からカーブを多投し、最速137キロの速球にスライダー、チェンジアップと、ほかの球種もしっかり腕が振れ、2回から5回まで全て3者凡退に抑えた。

 バッテリーを組んだ嶋捕手も「カーブがいいところに決まっていた。相手がカーブをあまりスイングしていなかったし、それで速球も差し込まれることが多かったと思う」と投球を評価した。

 緩急の意識が辛島を支えている。以前は球速にこだわる傾向があったが、星トレーニングコーチと「135キロでも相手を差し込んで抑える方法はある」と上体の使い方や右足のステップの位置など、投球フォームを何度も見直した。その効果で、星コーチが「今はいい位置でボールをリリースできている」と安定してきた。

 チームも11年以来となる秋田での勝利を飾った。カード初戦での黒星も5でストップ。「地方は何が起こるかわからないが、カードの頭が取れたことで連勝も狙える」と、梨田監督も笑顔を見せた。貯金は今季最多の15と増やし、首位快走は続く。【田口元義】