巨人阿部慎之助内野手(38)が選ばれし者だけが見える頂にたどり着いた。DeNA戦で2000試合出場を達成。史上50人目、球団では王貞治、柴田勲、長嶋茂雄しかなし得ていない。「入団した時には、ここまでやれると思っていなかった」と一見、無機質な数字の重みを実感していた。

 プロ17年目。出発点は01年3月30日の阪神戦だった。一生、忘れはしない。開幕前日に当時の原辰徳ヘッドコーチに「新人開幕捕手」を通達された。だがその前の日から熱発に襲われていた。無論、変調は腹の奥底にしまい込んだ。「緊張も何も、熱が出て、それどころじゃなかった」。高熱にうかされながらも開幕戦で4打点の鮮烈デビュー。スターとしてのレッドカーペットが敷かれた。

 巨人だからこそ、長い道のりを歩めた。開幕前、かつてチームに在籍した後輩があいさつに訪れ「今は野球が楽しいです」と口にした。再会の輪が解け、記者に「違うチームでプレーしていたら」と聞かれ、かぶりを振った。「巨人でプレーさせてもらったからこそ、自分はここまでプレーできた。もし違うチームにいたら野球人生は変わっていたと思う」。名門の重圧は、阿部慎之助を突き動かす情熱へと変せんしてきた。

 節目の試合は敗れた。球団を通じて残したコメントに監督、コーチ、スタッフ、ファン、両親、家族への感謝を残した。そして「通過点として、これからも出場し続け、勝利に貢献できるように頑張ります」と決意をつづった。勝つか負けるか-。勝負の熱にうかされながら、日々戦う。【広重竜太郎】

 ▼通算2000試合出場=阿部(巨人) 20日のDeNA8回戦(横浜)で先発出場して達成。プロ野球50人目。巨人では王2831試合、柴田2208試合、長嶋2186試合に次いで4人目。初出場は01年3月30日の阪神1回戦(東京ドーム)。