DeNA山崎康晃投手(24)が、真・守護神へ誓いのセーブを披露した。今季、1度は外されたクローザーとして、巨人相手に9回を抑えた。試合前の朝、ラミレス監督に中継ぎからの配置変更を直接通達された。4月9日中日戦以来となるセーブで、期待に応えた。シーズン終了まで守護神の座を確約されてはいないが、剥奪された約1カ月間、涙を拭いながら成長を遂げていた。

 最後の1球が決意の表れだった。山崎康は、巨人村田を最速となる150キロの直球で、空振り三振に仕留めた。36日ぶりの最終回のマウンドで、41日ぶりとなるセーブ。「ちょっと緊張しました」。ヒーローインタビューでの第一声で、心境を明かした。

 試合前の午前9時ごろ、監督室に呼ばれた。ラミレス監督からクローザーへの再度の配置変更を言い渡され、大きな声で「頑張ります!」と答えた。前日にセーブ失敗したパットンの気持ちをおもんぱかり「やられたら借りを返す。みんながそういう気持ちでやれるように、ブルペン陣で戦っていきたい」と出番を待った。7回にそのパットン、8回を三上が抑え、託された最後のマウンドでは、3人を9球で仕留めた。

 この1カ月、ブルペンでの景色が変わっていた。「3回くらいでブルペンに入って、どんな言葉が(投手に)掛けられているのか目にして、9回以外の仕事を見てきた」。4月に2度のセーブ失敗を機に中継ぎに転向した。戦況によって準備をする投手が変わるブルペン。先発から引き継ぎ、抑えまで託す継投の重みを知った。

 ゴールデンウイーク直前、パットンから投手陣にTシャツが配られた。米国から取り寄せた牛(BULL)の絵と「PEN」の文字が入った柄で、ブルペンの結束を強めるもの。だから「自分の仕事はここ(中継ぎ)だと、何度も言い聞かせた」。4月28日広島戦で1回3者凡退に抑え、第2ヒーローとしてファンの前に立つと涙を流して言った。「僕もパットンの9回のマウンドを応援している。何かあったときに、僕もまたそこに戻っていけるようにしたい」。中継ぎを含め16試合連続となる無失点で返り咲いたが、まだ安泰の場所ではない。

 「今は満足の気持ちはない。これからという思い。絶対的な守護神というところまで上り詰めたい」。真の勝利の方程式を守る覚悟だ。【栗田成芳】