美馬(みま)したか、この快投を。楽天美馬学投手(30)が20日のロッテ戦(ZOZOマリン)に先発して9回3安打無失点、無四球で三塁を踏ませなかった。7回からギアを上げ、打者10人から7つの三振を奪った。計10奪三振は自己最多タイ。チームは延長12回、立大卒のルーキー田中和基外野手(22)のプロ初となる2ランが飛び出して勝利。開幕投手を務めた右腕が勝利に貢献した。

 169センチの小さな体が大きく見えた。美馬が完封に値する9回無失点で、楽天の延長勝ちを引き出した。得点圏に走者を背負ったのは2度だけで、連打を許さず三塁も踏ませなかった。4回から8回2死まで打者14人、1人も走者に出さなかった。「ナイスピッチでしょ。これ以上ないでしょ」と胸を張った。

 圧巻は7回からだった。9回まで打者10人に対して7つの三振を取った。最速149キロを計測した速球に、フォーク、シュートがさえた。2桁の計10奪三振は12年9月11日のソフトバンク戦以来、約4年8カ月ぶりで自己最多タイ。「三振、2桁いった?」と、報道陣に確認するほどの納得の投球。6日の西武戦では、過去5度先発して1度も勝ってなかった鬼門のメットライフドームで勝利投手になった。その好投と合わせて「いい年だな」と笑ってみせた。

 この日は無四球。もともと制球力に定評があるが、前回登板の13日ソフトバンク戦は、5回で5四球と乱れて今季初黒星を喫した。「前回と違って、ストライク先行でいけた。四球で点を取られると、なかなか返せないから」とフォームのバランスや、リリースポイントを安定させることを強く意識した。140キロを超えるフォークは、いつもより指の開きを少し大きくして135キロ前後と球速を遅くした。決め球にも工夫を凝らした。

 梨田監督は「完封勝ちさせてあげなきゃいけなかったのにね」と、打線の援護がなかったことを悔やみながら「美馬がゲームをつくってくれたから10、11、12回と抑えられた」とねぎらった。ハーラートップに並ぶ5勝目は次回に持ち越しとなったが、投球回数55回2/3はチーム最多と貢献度は大きい。

 楽天は今季、同一カードの連敗が1度もない。美馬は「今日はそれを意識して試合に入った。そういうのをずっと続けていければいい」と責任感がある。則本、岸の2枚看板といわれるが、開幕投手を務めたプロ7年目の右腕も、間違いなく首位快走を支えている。【久野朗】