札幌ドームの「スイートシート」が、大きく様変わりしている。今季から、運営は札幌ドームではなく日本ハム球団が担当。内装は約1000万円かけて改装し、もはや球場とは思えないほどゴージャスに。年間契約のため、企業などの購入が多いというが、実は個人での購入も可能。新球場構想を掲げる球団が手がけた、球場建設の前の“予告編”!? 一般のファンにはなじみのない、謎多き空間に潜入してみた。

 高級ホテルにいると錯覚するような、落ち着いた雰囲気のエレベーターには、高揚感をあおるスタジアムDJのアナウンスが流れる。扉が開くと出迎えてくれるのは、栗山監督の等身大の木彫り像。日本ハムが約1000万円をかけて改装した、札幌ドームの「スイートシート」に潜入した。

 昨年まではドーム側が運営していた同席を、今季からは球団が手がけている。リフォームした内装で高級感を演出し、ゆったりとくつろげるソファも置かれた。球団運営となり、イベントとの連動が可能に。この日は「WE LOVE HOKKAIDOシリーズ」の真っ最中。なるほど、ピザやカレー、グリルチキンなど15種類以上のビュッフェと、デザート類のお品書きは、限定ユニホームと同じ「ハッピーイエロー」の配色。メニューには道産野菜やエゾ鹿を材料にした料理も並ぶ。球団関係者は「たとえば交流戦のDeNA戦では横浜中華街をイメージしたメニューなど、いろいろ展開できます」。対戦カードごとに特色が出そうだ。

 ソフトドリンクのほか、ビール、ワインなど、すべてが食べ飲み放題。グラウンド全体を見渡せる景色も気持ちがよく、足元には中継映像も流れている。2席セットで年間138万円也。一瞬、高いと感じるかもしれないが、公式戦58試合プラス、ポストシーズンが観戦できることを考えれば、1席あたり1試合1万円ほどの単価は、お得感があるようにも思うが、どうだろうか。新球場建設へ向け、候補地の選定を進めている日本ハム。夢が広がる新球場の、イメージの一端が垣間見えた。

<札幌ドームの主なシート>

 ◆個人シート 二刀流大谷翔平シートは最速165キロにちなみ165席限定。非売品のオリジナルTシャツ付で席種は選択できる。ほか「ローソン中田翔シート」「ローソン中島卓也シート」「チケキャン西川遥輝シート」がある。

 ◆団らんボックス 一塁側内野自由席のエリアに、たたみを敷き詰め、ちゃぶ台、座布団をそろえた「セブン-イレブン くつろげマス席」(5枚組)が13年から登場。敗戦時にちゃぶ台をひっくり返す、座布団を投げるは禁止事項。

 ◆女性限定 10年から球界初となる「セブン-イレブン シンデレラシート」を一塁側A指定席に設置した。1人に2席を確保し、高級クッション、ブランケット、オペラグラスなどを用意。

 ◆家族で 屋内3階スペースにある大型複合遊具、キッズパークに併設されたテーブル付の観戦シート。座席はベンチ型(横幅約2・4メートル)で大人2人、子ども2~3人程度が座ることが可能。