巨人小林誠司捕手(27)が、同学年のエースに初めて決勝打を贈った。0-0の7回2死一、二塁で、阪神秋山の高めに浮いた140キロ直球を力の限り振り抜いた。右翼線への適時二塁打となり、唯一の得点になった。自らの決勝打で菅野に白星がついたのは、バッテリーを組んで50試合目で初めて。攻守で菅野の通算50勝目をアシストした。「バットに当てることしか考えていなかった。いつも頑張ってくれているので、勝てて良かった」と胸をなで下ろした。

 バットでも貢献したい思いは持ち続けてきた。開幕直後からの不振で、打率はリーグ最下位。そんな状況に、今月上旬の試合前練習中には、球界OBから「考えすぎなくていいんじゃないか。まずは守備をしっかりすればいいんだから」と声を掛けられた。小林は気持ちをほぐそうとしてくれた心遣いに感謝し、頭を下げた。だが、逆に「僕も打てるように練習しないといけない。チームに迷惑をかけられない」と決意を新たにした。改善の糸口が見えなくても早出特打の常連であり続けた。捕手であり8番目の打者でもあるという責任感は強く抱き続けていた。

 3投手による完封リレーを導き、捕手としての仕事も完遂した。菅野から「小林と絶対に勝とうと話をしていた。チームとしてもバッテリーとしても、大きな1点、大きな1勝」と感謝されたが、小林は「いつも通り強いボールを投げてくれた。さすがですね」と“女房役”らしくエースをたてた。【浜本卓也】