東北福祉大が仙台大を3-0で下して1勝1敗とし、2季ぶり68度目の優勝に逆王手をかけた。先発した最速149キロ左腕の山野太一(1年=高川学園)が8回4安打12奪三振無失点。4回に4番楠本泰史外野手(4年=花咲徳栄)が先制右前適時打を放って逃げ切った。今日30日の第3戦に勝った方が優勝し、6月5日に開幕する全日本大学野球選手権(神宮ほか)に出場する。

 負けたら終わりのマウンドに仁王立ちしたのは、1年生の剛腕山野だった。この日最速147キロの直球がうなりをあげると、相手のバットはかすりもしない。8回で12個の三振を積み上げた。4月9日の東北大戦のデビュー以来、無傷の4連勝でチームの窮地を救った強心臓ルーキーは「今日は負けられない試合だった。1点もあげたくなかった」と胸を張った。

 リミッターを解除した。「変化球に頼りすぎたくない」と入学後はあえてカーブとスライダーのみで投球を組み立てていたが、この日は右打者の外角に沈む120キロ台のチェンジアップを大学公式戦で初解禁した。「相手のデータにもなかったので、右打者は全くあってなかった」。5回無死二塁では右の8、9番を宝刀チェンジで、続く左の1番をスライダーで3者連続空振り三振にきってとりピンチを脱した。

 調整も万全だった。今季3度目の先発となった5日の東北工大戦から調子を落としていたが、投球VTRを何度も見直しフォームを修正した。「調子がいい時は右足を上げてから1秒8、9ぐらいで着地していた。悪い時は1秒4ぐらいだった」。この日はバロメーターの右足をピーンと伸ばしてから着地させる優雅なフォームを取り戻し「右足のためができていてよかった。球が抜けなくなった」と笑顔を見せた。

 今日30日の最終決戦に勝って優勝を決める。元西武の大塚光二監督(49)からは試合後「まだ次があるぞ」と声をかけられた。山野も「明日(30日)勝たないと意味がない。投げるイメージを持ってやりたい」と力を込めた。総力戦で、神宮への道を切り開く。【高橋洋平】