背番号「55」をつける“燕のゴジラ”が、レギュラー争いに割って入る。17年シーズンの最下位から、昨季は2位まで駆け上がったヤクルト。さらなる高みを目指すため、村上宗隆内野手(18)のパワーが必要だ。

昨シーズン終了後、未来を担う大砲候補が何度も口にしたのは「来年に向けて、もう始まっている」という言葉。プロ2年目にかける思いの強さが、ひしひしと伝わってきた。

高校通算52本塁打の実績を持ち、ドラフト1位で入団。打力を生かすため、捕手から三塁手に転向した。当初は98キロだったが、プロでの厳しい練習と連日の試合で体重は減った。それでも秋季キャンプ終了後には、100キロの大台に。プロテインの摂取を始めるなど、飛躍のための土台作りは着々と進んでいる。「今は体作りをしているところ。いい形で体重が増えている」と本人も手応えをつかんでいる。

参加したアジアウインターリーグ(台湾・台中)では「いい状態ではなかった」と言いながら15打点、4本塁打と2冠を達成した。現地では他のチームメートが食事面で苦労し、体重維持が難しい中で見事に適応。「僕は向こうでもご飯が食べられていた。体重は増えたかもしれない」と大物ぶりをアピールした。

そのポテンシャルは青木の目にも留まり、自主トレ参加の声をかけられた。今月、米ロサンゼルスで西浦、上田、宮本らと寝食をともにする。「何か1つ、2つ見つけて、吸収したい」と貪欲な姿勢で臨む。

1軍でのプロ初打席となった昨年9月16日広島戦(神宮)で、いきなり初本塁打を放った。ルーキーイヤーの安打がその1本だけに終わった悔しさを胸に、球団創設50周年の節目でもある今季は「レギュラーとして、ヤクルトの日本一、チームの目標に向けて頑張る」。今年、一気にブレークする可能性は十分だ。【ヤクルト担当 保坂恭子】