楽天が、ロッテ涌井秀章投手(33)を金銭トレードで獲得することが18日、分かった。早ければ19日にも発表される。先発投手を補強したい楽天と、若手の先発投手が育ちつつあるロッテの思惑が一致した。プロ15年で133勝を積み上げ、3度の最多勝に輝いた沢村賞右腕が新天地へ移る。

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楽天が、沢村賞右腕の涌井を金銭トレードで獲得する。

今季の先発陣は則本昂、岸のケガの影響もあり、2桁勝利を挙げた投手はゼロ。唯一規定投球回をクリアした美馬も、国内FA権を行使してロッテへ移籍した。計算できる先発投手を補強したい思惑がある中で、石井GMは現役時代西武で6年間ともにプレーした涌井に着目。投球だけにとどまらず、若手の手本としての役割も期待しているとみられる。

3球団目のユニホームに袖を通す。13年オフに国内FA権を行使し、西武からロッテに移籍。15年には6年ぶりに最多勝を獲得するなど、エースとして活躍した。今季は3勝7敗、防御率4・50。ここ3年は本来の調子ではなかったが、若いころと変わらぬ練習量で、シーズン中も黙々と走り込む姿は投手陣の手本となった。8月から1カ月半に及んだ2軍調整期間は、投球フォームを模索。普段は走者なしでもセットポジションで投球するが、ノーワインドアップでの投球を試すなど、必死に復活への糸口を探す姿も見られた。

ロッテとしては苦渋の決断だった。貴重な戦力として涌井を手放したくない思いがある一方で、3年目の種市がチームトップタイの8勝、6年目の二木が7勝、5年目の岩下が5勝。ルーキー小島も終盤は先発ローテーションの一角として回るなど、若手が順調に育ってきた。

来季34歳を迎える涌井は、先発での起用にこだわりを持っている。これまでの貢献度を考慮し、一番輝ける球団で活躍してもらいたい思いが生まれた。当初は選手間のトレードを模索したが、両球団ともにFAの人的補償を抱えており調整が複雑化し、大型の金銭トレードという形に落ち着いたようだ。百戦錬磨のエースが杜(もり)の都に移る。

◆涌井秀章(わくい・ひであき)1986年(昭61)6月21日生まれ、千葉・松戸市出身。横浜から04年ドラフト1巡目で西武入団。13年オフにFAでロッテ移籍。最多勝利3度(07、09、15年)沢村賞(09年)ゴールデングラブ賞4度(09、10、15、16年)。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。16年にモデルの押切もえと結婚。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2億円。