想像していた以上の距離感、あうんの呼吸に驚いた。年明けの日本国内での自主トレ中にレッドソックス上原浩治と、今季から日刊スポーツ評論家に加わった建山義紀氏の対談が実現した。東海大仰星の同級生、チームメートの39歳同士。私は12年、ダルビッシュ有投手(28)のメジャー挑戦に伴い、レンジャーズを取材する機会に多く恵まれた。

 上原、建山氏もレ軍に在籍していた。メジャーではキャンプ期間、公式戦中は試合前後にクラブハウスで取材ができる。上原と建山氏はロッカーが隣だが、親密に会話をしたり、接しているイメージは当時の記憶として残っていない。役割は違うが、お互いに中継ぎのライバル関係。それが、ドライに見えた関係に起因していると思っていた。

 今回、都内のお好み焼き店が対談場所だった。レ軍取材時代の固定観念は、いきなり覆された。スーツにネクタイを締め、上原は姿を現した。第2の人生を歩み始めた建山氏への敬意が、透けて見えた。建山氏がカジュアルな服装で登場したのを見ると「オレも楽にいかしてもらうわ」と上原はネクタイを緩め、ワイシャツ1枚になった。「コウジ」、「ヨシ」と呼び合い、時に脱線したトークは約2時間30分に及んだ。

 勘違いを恥じるほど、爆笑に次ぐ爆笑。真っすぐに正論を戦わせた。思い出話に浸り、幕を閉じた。「友」は素晴らしいと、うらやましくなった。それが高校、プロ野球、メジャーと人生が重なり合えば、なおさらだ。建山氏は、メジャーリーガー上原を米国で取材するのが今季からの夢の1つだという。そう明かされた上原は「絶対やで。待ってる」と応じた。私も同じ39歳。急に「友」に会いたくなった。【高山通史】