<オープン戦:ソフトバンク2-3広島>◇8日◇福岡ヤフードーム

 広島の新外国人コルビー・ルイス投手(28=ロイヤルズ)がソフトバンク戦に先発し、4回1失点と好投した。最速151キロの速球は圧巻で、加えてチェンジアップ、スライダーなど全球種を制球よく織り交ぜて強力打線を翻弄(ほんろう)した。課題のボークもとられず「本番仕様」の迫力を見せつけた。大竹と開幕投手候補を争う本格派右腕が、日本デビューへ急加速してきた。

 ヤフードームの電光掲示板に煌々(こうこう)と「150」の数字が浮かび上がった。バックネット裏に据えられた広島スコアラーのスピードガンは「151キロ」を計測した。4回の最終打者松田への5球目。右飛に打ち取った会心の直球が、ルイスの右腕に春の訪れを告げていた。

 「何度も言っているようにスピードは気にしていないんだ。直球のコンビネーションや制球力でどれだけ打ち取れるかが今のテーマだからね。でも今日は調子がよかったよ」。

 アイシングしながら通訳を介して振り返った。「もうみんなボークの話をしなくていいからね」と笑顔でジョークも飛び出した。調子の良さが全身からにじみ出ていた。

 速球は常時140キロ台の中盤~終盤だった。ブラウン監督は「投げようと思えばスピードは出る。でも彼はただ投げるだけでなく『ピッチング』をする投手だからね」。150の数字に興味は示さなくても、仕上がりの良さ、投手としてのレベルの高さには目を細めるばかりだ。

 前回4日の巨人戦は雨模様の寒い広島市民球場だった。今回は暖かいドーム球場。体のキレが違った。「この間は体が動かなかったからね。やっぱりドーム球場だとブルペンでもマウンドもいい汗がかけるし、集中できる。米国にもドーム球場が多かったから何の問題もないよ」。もちろん屋外は苦手というわけではない。より快適な環境で、本来の姿を見せられたことがうれしかった。

 巨人戦では直球が約8割と極端な配球だったが、この日はまさに「本番仕様」だった。スライダー、チェンジアップにカーブ。特にスライダーは切れ味がよく、初回の多村、2回の松田を空振り三振。4回には左の柴原の胸元を突き、バットを折って一ゴロにしとめた。3回に不運な安打や内野ゴロで1点を失ったが、それを「不安材料」とするには少々無理がある。

 メジャーで通算12勝を挙げ、このオフも現地で去就が注目された好右腕。もちろんメジャーからの誘いもあったが、本人はより自分を高めるために来日の道を選んだ。向上心が強い。捕手陣とは連携を欠かさず、自分から配球のこと、試合のテーマなどを直接捕手にぶつけてくる。

 「まだまだ勉強しないといけない。日本には米国人のような打撃をする選手もいるし、日本人らしい打撃の選手もいる。いろいろなチームで対戦して吸収していきたいね」。メジャー流のマイペース調整から一転、右腕のギアはもうトップに入りそうな勢いだ。【柏原誠】