さあ、サバイバル最終章-。広島は19日、阪神と高松で対戦する。この試合でフォーム改造中のストッパー永川が1週間ぶりに試合復帰の予定。首脳陣はオープン戦中に抑えとしての基準を満たせなければ中継ぎに「降格」させる方針を固めている。また先発候補の青木高も20日の阪神戦(倉敷)がラストチャンス。各投手は本番さながらの緊迫モードで阪神打線にぶつかる。

 高橋、青木高、永川の3人だけが参加した高松サーパススタジアムでの練習。他のナインが自由時間を過ごす間、グラウンドには張り詰めた空気が漂っていた。19日の阪神戦を皮切りにオープン戦はラストの5連戦。どれほど重要な意味を持つのかは、各自が痛いほど分かっていた。

 まずは永川だ。この日はブルペンではなく、マウンドで投球練習を行った。セットポジションで自らコースを設定しながら、丁寧に1球1球を投げ込んだ。上体を極端にはひねらない新フォーム。試行錯誤を続け、試合で使えるレベルに仕上げてきたが、永川はまだ首脳陣の求めるハードルをクリアしていない。

 「ローテ投手は現段階でのベストを選択する。いい人を外す理由はないし、悪い人を入れる理由もない。永川に関してもそうです。今年は1人の投手と心中するわけにはいけない。抑えられる人を選びます。勝てる投手を使う方針なので。永川はクローザーなので(いい結果と内容を)見せてほしい」。小林投手コーチの言葉は、永川が置かれた状況を説明している。

 12日の紅白戦以来、5試合も試合登板がなかった。同コーチは「いいときと悪いときがいろいろあったから、少し間隔を空けてみた。他球団と比べてもキャンプから多く投げていたので大丈夫と思いました」と、この1週間が“冷却期間”だったことを明かした。

 永川は「皆さんは僕が調子悪いと思っているかもしれないけど、そんなに悪くないです。心配していない」と語った。昨年までと違い、コズロースキーという代わりがいる。黙々と練習メニューをこなす姿には危機感もうかがえた。

 昨季5勝の青木高もシビアな立場だ。20日の阪神戦(倉敷)に先発予定だが小林コーチは「青木高は(高橋)建さんと違って結果を出さないといけない。今回は宮崎が下(2軍)で投げ、青木が上で投げるが、それがどういう意味か、ということです」と説明した。安定感がある宮崎の評価はほぼ終わった。ローテーション確定へ、あとは青木高の評価を下すだけというニュアンスだった。

 左腕も理解している。「もう次しかないと思っています。入団したときのように、強い気持ちで投げる。ここまで来たらやってきたことをしっかりやる。とにかく低め、低めです」。サバイバルは最激戦区の中継ぎだけではない。ストッパー、先発のイス取り合戦もいよいよ佳境を迎える。【柏原誠】