<ソフトバンク9-0日本ハム>◇2日◇北九州

 連勝、5割が遠~い。日本ハムが先発吉川光夫投手(19)の乱調に加え、打線も沈黙しソフトバンクに完敗した。吉川は3回1/3で9安打7失点を喫し、5回6失点で降板した3月26日の西武戦に続き、連続KO。打線も初対戦となった大隣に2安打に封じ込められた。今季初の連勝、5割復帰をかけての一戦だったが、再び最下位に転落した。

 勇敢な警備員とは、まるで正反対だった。敗戦直後の日本ハムベンチ。フェンスを乗り越え、グラウンドへ乱入した北九州の男性ファン数人を選手らが傍観した。騒然とする中で警備スタッフらが制止に入る。馬乗りになっての殴り合い、ラグビー選手のようなタックル…。突進して暴れる1人1人を体を張って止めた。ノーガードで完敗した日本ハムは、見習うべき姿だったのかもしれない。

 バトル開始のゴングとともにKO寸前だった。先発吉川が撃沈。1番川崎から連打で無死一、二塁のピンチを招く。多村にカウント1‐3とし、苦し紛れに続けた直球、外角へ甘く入った2球目を右翼ポール際まで運ばれた。1試合平均2・3得点の「極貧打線」には重すぎる先制3ランだった。「申し訳ないという気持ちでいっぱい」。福岡生まれの19歳が、大敗への伏線、決定打を食らった。

 打線もジャブすら繰り出せない。初対戦の大隣に6回2死まで無安打。森本の左前打が飛び出すまで沈黙。打率4分5厘と大スランプの金子誠を先発から外すテコ入れをしても序盤のダメージは重すぎた。「大味なゲームにはなると思っていたけれど…。一方的になりすぎた。悪かった」。梨田監督も、前向きな材料を見いだせない一戦だった。

 今季初の連勝、勝率5割復帰はお預け。今日3日、エースのダルビッシュに首位ソフトバンクからのカード勝ち越しを託すことになった。2戦2敗の吉川に代わる先発が2軍にはおらず、次回も予定通り先発する見込み。ダルビッシュと武田勝が先発した4戦以外は、いまだ白星なしだ。開幕から10試合。ファイティングポーズをとらなければ、光は見えない。【高山通史】