<楽天5-4オリックス>◇11日◇Kスタ宮城
長いトンネルを抜けた歓喜の叫びを、ノムさんはベンチの外で聞いた。楽天野村監督は延長10回、サヨナラ打を放った山下の代打を告げた後、実はトイレに行っていた。「ずっと(小便を)我慢していたんだけど、どうしても我慢できなくてさ。寒いからトイレが近いんだよ。全力疾走で行ったんだよ。そしたらワーッて声が聞こえたんだ」。用をたす快感に浸っている間に、チームは1週間ぶり、しかも劇的な勝利の快感の中にいた。
照れ笑いの連発だった。本来ならベンチ前に整列し、ファンに勝利の一礼を終えてから会見場に向かう。ところが報道陣が駆けつけた時には、すでに会見場のモニターでサヨナラの瞬間を見つめていた。「傑作だな。こんなことは野球人生で初めてだよ。山下も打つとは思わなかったし。でも間に合うと思ったんだけどなあ」と期待の代打を送り出しながら、戻れなかったことに頭をかいた。選手たちと勝利を祝う間もなく会見が始まってしまったため、「ハイタッチ?
後でゆっくりするよ」と苦笑いだった。この爆笑劇にヒーローの山下も「監督が気持ちいい時に、僕も最高に気持ち良かったからいいんじゃないですか」と豪快に笑い飛ばした。
苦しい夜の連続だった。3日にKスタ宮城で7連勝を果たしてからロード6試合で1つも勝てず、一気に最下位まで転げ落ちた。「1週間白星から離れると長いな。夜テレビを見てても、腹の中は煮えくりかえっていたからな。印象も何も残ってないわ」と苦悩の日々を振り返った。
ドロ沼の連敗も6で止め、一気に4位に浮上。本拠地での連勝記録も6に伸ばした。それでも野村監督は「連敗を止めたのは良かったが、この勝ちが明日に続くかは予測できないな」と、気は緩めなかった。爆笑交じりの劇的勝利で再び連勝街道へのスタートを切る。【小松正明】



