巨人「神の手」届かないラミ弾でお返し
<巨人6-5阪神>◇8日◇東京ドーム
神の手返しだ。巨人アレックス・ラミレス外野手(33)が阪神戦の8回、逆転の10号2ランを放った。前日7日は本塁打性の打球を阪神ファンにたたき落とされて二塁打とされたが、この日は観客のいないバックスクリーンに豪快に打ち込んだ。嫌なムードの3連敗を阻止する逆転劇で勢いに乗り、9日から東京ドームに中日を迎え撃つ。
ラミレスの巨体が打席の中できれいに回った。1点リードされた8回裏無死二塁。阪神久保田の内角低め直球、148キロをバットの真芯にぶつけた。「詰まったけど振り抜けたのであそこまで飛んだ。打者を進めようと思って打席に入ったらフェンスを越えた」という規格外のパワー。赤星の頭上を悠々と越えた逆転2ランが、バックスクリーン左で弾んだ。
必死な思いがぎっしりと詰まった本塁打だ。2-3の5回2死一、二塁。阪神野口が左翼へ放った打球を処理し、迷いなく二塁へ送球してしまった。送球を確認して、和田三塁コーチもちゅうちょなく腕を回す。一塁走者の鳥谷まで生還を許してしまった。
分厚い阪神の中継ぎ陣を考えれば、重い2点適時打になった。「致命傷になりかねないミスをして、取り返さなくては、と思っていた。私の長所は、下を向かないこと。次、打って返そうと」と名誉挽回(ばんかい)に必死だった。5月に入り打撃自体は上向きだったが、直球には詰まらされる場面が目立っていた。阪神が誇るセットアッパーの、ベストボールを打ち返したのは助っ人の意地だった。
無念も一夜で晴らした。7日の試合で、逆転3ランかと思われた打球が左翼席最前列で身を乗り出して伸ばした阪神ファンの右手に当たり、二塁打とされた。この判定が響き1点差で敗れた。お立ち台で「1本損したが、取り返せた」と人懐こい笑顔で言った。バックスクリーンへ着弾なら「神の手」に邪魔される心配などない。「誰もいないところを狙ったんだよ。テニスラケットでも使わない限り、届かないからね」と“ラミちゃん節”を並べた。
巨人へ移籍する交渉を行ってくれた代理人・グリーンバーグ氏が見守る前で、リーグトップをひた走る10号2ラン。「元気なところを見せたい」と張り切り、千金打を披露した。だが落ち着きを取り戻すと「本塁打は気にしてない。阪神はミスをしないチームだ。まずは5割を目標にしなくては」と自責の念を込めた。
原監督も思いは同じだ。「今のチーム状況でいえば、起死回生のホームラン。だが今、1つの勝利に有頂天になることはできない」と険しい表情で言った。本拠地で阪神に3連敗は逃れたが、9日からは中日と3連戦。遠く離れる上位2強を追い掛ける状況に変わりはない。「昨日も言ったが、粘っこい、粘りのある野球をやることが大切」と、ラミレスの逆転弾も過去のこととして会見を締めた。【宮下敬至】
[2008年5月9日8時41分 紙面から]
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