<楽天1-3中日>◇21日◇Kスタ宮城

 中日山本昌は帽子を取ると誇らしげにファンに手を振った。自身3連勝での通算196勝目は2年ぶりの交流戦での勝利、18年ぶりの仙台での勝利だった。「目いっぱい飛ばすだけでした。今までチームに申し訳ないことをしていたから恩返しができてよかった」。

 最大の見せ場は3歳下の“ライバル”との対決だった。1回2死二塁、打席にパ首位打者・山崎武を迎えた。初球、足元に直球を投げ込んだ。体勢を崩すと、同じ球をもう1球続けた。そして最後は140キロの内角ストレートで詰まらせて遊ゴロ。「一番、力を使いましたね。打率を見てもものすごいし、いいバッターだから。疲れました。でも楽しかったな」。第2打席は右飛、第3打席は四球と2打数無安打と、打たせなかった。

 中日でともに戦い、車好きという共通の趣味があることからオフには「ラジコンの大会」を共同開催するなど親交が深い。5月14日、今季2勝目をあげた夜には祝福の電話をもらった。山本昌が「交流戦頼むな」とジョークを飛ばすと、山崎武は「頼むって言われても、こっちも勝ちたい。200勝はしてもらいたいけど先延ばしにしてもらうよ」と切り返した。その言葉通り、球場全体を緊迫感が包むような真剣勝負を繰り広げ、今季最長7回を4安打1失点で乗り切った。

 山崎武は試合後に「去年よりまっすぐ速くなっているよね。コントロールもよかったし…」と脱帽。この日、直球は今季最も速い142キロを計測した。今季最長イニングを投げ今季最速を記録する姿は見守る者に42歳9カ月という年齢を忘れさせた。【鈴木忠平】