打倒建さんに、ノムラの秘策あり-。楽天は31日から、広島と対戦するが、先発が予想される広島高橋対策として、現役時代に対戦成績のよかった山田勝彦バッテリーコーチ(38)に“1日打撃コーチ”に抜てきし、ミーティングを任せることにした。山田コーチは高橋との対戦成績が19打数8安打、4割2分1厘と打っている。すでにVTRも取りそろえ準備万端だ。さて、ノムラのひらめき、セ・リーグ防御率トップのベテラン左腕を崩せるか。

 攻略法は打ったやつに聞け!

 今回の案の始まりは野村監督のひと言だった。実は21日の中日戦を前に、先発の山本昌対策の打撃コーチ陣によるミーティングが開かれた。席上、橋上ヘッドコーチが現役時代に、山本昌と相性がよかったという話題になった。

 そこで野村監督。「相性がよかった?

 だったらお前がミーティングをやればいいじゃないか」と、橋上ヘッドコーチに問いかけた。その時は実現しなかったが、今回の相手がプロ14年目、39歳のベテラン高橋ということもあり、再び「相性のよかったコーチ抜てき」案が浮上した。

 左投手を苦手とする楽天打線にとって、実際に対戦した生の声こそ最高の攻略法。探したところ、山田コーチは阪神で捕手の現役時代、高橋を19打数8安打、4割2分1厘とカモにしてきたことが判明した。印象を聞かれ「あいつがいいっていうイメージがないんだよね。あっちだよ、あっち」と早くも右翼方向を狙って打つ格好をして見せた。橋上ヘッドコーチも「うちは体が突っ込む打者が多いから、左投手が苦手。明日は代打山田に打ってもらいましょう」と大乗り気だ。

 すでにミーティングの準備も整っている。資料のビデオには「おれが安打を打ったやつも入ってるんだよね」と山田コーチ。映像に実体験をもとにしたアドバイスを加え、より具体的な指示を打撃陣に出すつもりだ。日ごろから野村監督が「山田は寝ないでよく研究している」と話すように、分析力もお墨付き。

 楽天にとって広島2連戦は重要な節目の戦いだ。31日勝てば5月の勝率5割となり、貯金も球団史上最多の4になる。西武石井一、中日山本昌とベテラン左腕はひねられてきたが、今回はひと味違う攻撃が見られるか、注目の一戦だ。【小松正明】