原巨人が巻き返しへ動いた。10日、巨人真田裕貴投手(24)と横浜鶴岡一成捕手(31)の緊急交換トレードが成立し、両球団から発表された。巨人は現在、正捕手阿部の体調が万全ではない状況。また8月の北京五輪メンバーで阿部が抜ける可能性が高く、五輪シフトもあって2番手捕手候補を獲得した。巨人が6月にトレードを敢行したのは06年以来。横浜も借金24の最下位に低迷、投手陣を強化したい思惑と一致した。鶴岡の背番号は真田がつけていた43、真田の背番号は鶴岡の57になった。

 借金1で3位に甘んじる巨人が、60試合を消化したシーズン途中に緊急補強を行った。6月に入ってトレードを敢行するのは60年以降6度目で、ウイークポイントを補いたい思惑が横浜側と一致。この日、日本ハム戦のため札幌へ移動した原監督は「電撃的に決まったみたい」と話した。

 正捕手の阿部はここ3試合、腰痛のためスタメンを外れている。現在体調が万全ではなく、8月には北京五輪メンバーに選ばれる可能性が高い。チームの要が抜けることを想定した五輪シフトもあって、球団は電光石火の決断を下した。五輪期間中、日本代表メンバーは最低でも12試合抜ける。各球団の主力がいなくなるため、ペナントを左右する重要なポイント。勝負どころの夏場で一気に巻き返すチャンスが生まれる。

 獲得した鶴岡は04年アテネ五輪で正捕手の相川が抜けた際、先発マスクを任され、14試合で38打数16安打で打率4割2分1厘、2本塁打、5打点と活躍した実績があり阿部の代役になれる力は持っている。原監督は「まず2軍で選手を覚えながら競い合ってほしい」と期待を込めた。清武球団代表も「阿部君が十分でないことも踏まえ、13年目の鶴岡君を補強して加藤、星、実松と競い合ってほしいと思います。万が一の故障にも耐えうる選手層の厚さをつくりたかった」と説明した。

 現在育成枠を含め総勢8人の捕手がいるが、刺激することで底上げを狙う目的だ。今季は優勝候補の本命と目されるメンバーで開幕を迎えた。だが二岡が右ふくらはぎ肉離れで離脱し、主砲李が不振で2軍落ち。現在高橋由も腰痛のため2軍調整中で、若手の亀井、矢野、鈴木尚、松本と故障者続出。好調だったゴンザレスは薬物使用で解雇と、戦力ダウンしている。投手陣も上原、木佐貫、高橋尚が不調で1軍を離れ、首位阪神とは11ゲーム差と苦しい状況だ。

 今年からトレード、新外国人獲得の期限が、6月末日から7月いっぱいに延長になった。新外国人を含め補強の第2、3弾を模索していく。原監督は「両選手、両軍にとっていいトレードになればと思う。監督1年目のドラフト1位で真田には思い入れがあります。ここ数年、輝きを失っていたけど、これをきっかけに取り戻してほしいと野球人として願ってます」と断腸の思いをのぞかせた。思い入れがある選手を放出してまでも、戦力整備に動いた。活性化の意味も込められる補強で、巨人が巻き返しをはかる。