<阪神5-3巨人>◇8日◇甲子園

 阪神が巨人をたたいて、クライマックスシリーズ(CS)進出マジックナンバー「55」を点灯させた。猛虎打線がこの日も爆発し、11安打でリーグ戦再開後の全9試合で2ケタ安打。リーグ優勝した05年8月9日から17日までの8試合連続を上回る球団新記録だ。守護神藤川が思わぬ形でもたついたのが一抹の不安だが、最速なら11日にVマジック「53」も点灯する。

 無心で振り抜いた。ナインがつくってくれた最高の舞台。阪神関本賢太郎内野手(29)が満員のスタンドを沸き上がらせた。4回だった。2死から満塁となって回った打席。タイミングを外しにきた外角へのチェンジアップに食らいついた。右前へ転がる3点目のタイムリーだ。

 「2死からのチャンスやったし、追加点が欲しい場面だったから。タイミングは外されたけど不思議といいところに飛んでくれた。最近満塁でよく回ってくるけど、余計なことを考えないで気楽に打席に入っているのがよかった」

 うれしい適時打がプロ12年目で到達した節目の500本安打だった。関本は初回と6回にも左前打を放ち、ペナントレース再開後の9試合で、実に4度目の猛打賞だ。派手さはないが球団新記録となる9試合連続2ケタ安打記録樹立の功労者だ。一塁走者になってからは、バーンサイドからボークを誘い、公式戦初対戦の助っ人をKO。バントの名手らしい渋い働きだ。

 もう1人、脇役が光った。8番三塁でスタメンのバルディリスだ。5回にチーム10本目の安打となる左前打を放った。これでチーム新記録となる9試合連続2ケタ安打の達成だ。球団史にその名を刻んだ優良助っ人は「チームとして打ったものだよ」と控えめだ。

 6日に来日初本塁打を放ち、記念の1号ボールは母国の両親に送った。7日には「くいだおれ」閉店カウントダウンで盛り上がる大阪・道頓堀を訪れ、タコ焼きをほおばってリフレッシュ。「こんな素晴らしいファンはいない」という甲子園に戻り、魅せた。

 これでチームは今季初の7連勝。クライマックスシリーズ進出へのマジック「55」を点灯させた。2位中日とのゲーム差は今季最大の12・5に広がった。

 それでも岡田監督に慢心はない。「だれが打っているというわけではなく、イニングの先頭(打者)とか、皆が役割をできている。その積み重ねが数字になっている。でも(マジックは)全然考えてない。関係ないわ」。浮かれるのはまだ早い。その気持ちはナインも同じ。常勝軍団に隙(すき)は見あたらない。【福岡吉央】